1993 Fiscal Year Annual Research Report
古植物学的及び新植物学的アプローチによる被子植物起源群の系統の解明
Project/Area Number |
05304009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60089604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻沼 一男 高知女子大学, 保育短期大学部, 教授 (30106794)
小菅 桂子 神戸大学, 理学部, 助手 (50215266)
鈴木 三男 金沢大学, 教養部, 助教授 (80111483)
高橋 正道 香川大学, 教育学部, 助教授 (00154865)
西田 治文 国際武道大学, 体育学部, 助教授 (30164560)
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Keywords | 被子植物 / 起源 / 古植物学 / 白亜紀 / 化石 / 花粉 / 遺伝子系統 / マツモ |
Research Abstract |
代表者の戸部博は、最近発表された葉緑体遺伝子の分析による被子植物の進化におけるマツモ科の位置に重点をおいて、マツモの採集を行い発生学的形質の個々の特徴を明らかにしてきた。その一方、研究連絡会議などにより、全体の研究のとりまとめを行ってきた。分担者、西田誠と西田治文は、北海道白亜期に地層から、10心皮性の被子植物の果実を発見し、その詳しい解剖構造を明らかにしながら、形質の評価をするために現生植物との広範な比較を行ってきた。高橋正道は、北海道白亜期から花粉化石を採集することを技術的に成功し、これまで報告されたことのないいくつかの異なる3溝粒型花粉の存在を明らかにした。現在、さらに多くの花粉化石を捉えようとしている。鈴木三男は、日本の白亜期産の材化石に関するこれまでの報告を分析する一方、西田誠採集の熊本県と岩手県産の材化石試料と本人採集による三笠市の材化石試料を研究し、当時の材の形質進化を検討してきた。小菅桂子と植田邦彦はマツモ科を含む8科13種について、グリセロアルデヒド3燐酸脱水素酵素(GAPADH)遺伝子の塩基配列による系統解析を行い、さらに材料を増やして検討しようとしている。荻沼一男は、日本産マツモの核形態の分析を行い、倍数体の存在を初めて明らかにした。広範な研究に入ろうとしている。 以上のように、全体として、当初予定の研究は比較的順調に続いている。次年度のまとめで、日本の最も古い白亜期の地層から見いだされる生殖器官、花粉、材の形質研究と、現生種を利用した生殖形態形質、さらに遺伝子系統の研究がそれぞれの成果から、どのように、原始被子植物群の特性を捉えることができるか、期待がもてる。
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