1994 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシンとしての筋フィラメント滑り機構の動的特性に関する総合的研究
Project/Area Number |
05305007
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
杉 晴夫 帝京大学, 医学部, 教授 (20082076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茶圓 茂 帝京大学, 医学部, 講師 (60142452)
菅 弘之 岡山大学, 医学部, 教授 (90014117)
三枝木 秦丈 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (20046113)
石渡 信一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10130866)
山田 和廣 大分医科大学, 教授 (20053027)
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Keywords | 筋収縮 / 筋フィラメント / アクトミオシン |
Research Abstract |
本研究の平成6年度の主な研究成果は以下のように要約される。 1.遺伝子工学的手法によるミオシンのモータードメイン構造の研究:須藤らは遺伝子工学的手法により、細胞性粘菌ミオシンの重鎖のうち760アミノ酸残基のみからなるセグメント(S1dcフラグメント)を発現させることに成功した。このS1dcフラグメントはアクチンフィラメントをATP存在下に滑走させ、また滑り力を発生しうるので、ミオシン重鎖のモーター機能はこのフラグメントに局在することが示唆される。現在S1dcの結晶構造の解析が進行中である。 2.X線回折法による筋収縮時の筋フィラメント構造変化の研究:若林らは高速動的X線回折法により収縮中の骨格筋の筋フィラメント由来の反射を詳細に調べた結果、筋肉の収縮張力発生にともなって、アクチンフィラメント、ミオシンフィラメントともに弾性的にその長さを変化させることを明らかにした。この結果は収縮中の筋線維の力学的実験から得られたHuxleyらの収縮模型に改変をせまるものである。 3.Caged-Ca^<2+>による筋線維の活性化と収縮時のエネルギー変換効率の測定:杉らはグリセリン抽出骨格筋線維内のATPの濃度を低く保ち(約200μM)、これをレーザー光フラッシュによるCaged-Ca^<2+>(DM-nitrophen)からのfreeCa^<2+>放出によって活性化した。このさいATP濃度は筋線維内のミオシン頭部の濃度(約I50μM)にほぼ等しいので、収縮の後期にATPはすべて分解され、筋線維は硬直(rigor)状態に移行する。この条件を利用し、われわれは収縮の任意の時点で、筋線維の動きを停止させたさいの張力上昇の度合からATP分解の時間経過を測定した。結果はATP分解速度は無荷重短縮下で最も著しく、筋線維にかかる荷重の増加とともに減少して等尺性収縮時に最小となることがわかった。この結果は筋収縮時の化学・機械エネルギー変換効率が力学的条件に依存して大幅に変化することを示している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Oishi,N.&Sugi,H.: "In vitro ATP-dependent F-actin sliding on myosin is not influenced by substitution or removal of bound nucleotide." Biochimica et Biophysica Acta. 1185. 346-349 (1994)
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[Publications] Miyata,H.&Kinosita,K.: "Transformation of actin-encapsulating Iiposomes by cytochalasin D and accompanying change in alignm ent of actin filaments." Biophysical Journal. 67. 922-928 (1994)
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[Publications] Wakabayashi,K.et al.: "X-ray diffraction evidence for the extensibility of actin and myosin filaments during muscle contraction." Biophysical Journal. 67. 2422-2435 (1994)
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[Publications] Miyata,H.et al.: "Stepwize motion of an actin filament over a small number of heavy meromyosin molecules in an in vitro motility assay" Journal of Biochemistry. 115. 644-647 (1994)
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[Publications] Komatsu,H.&Tawada,K.: "Trinitrophylation of the reactive lysine residue in double -headed myosin in the presence of PPi." Journal of Biochemistry. 115. 1190-1196 (1994)
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[Publications] Chaen,S.et al.: "The force-velocity relationship of the ATP-dependent action-myosin sliding causing cytoplasmic streaming in algal cells." Journal of Experimental BIology. 198(in press). (1995)
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[Publications] 杉晴夫.斎藤望.佐藤昭夫: "運動生理学" 南江堂, 117 (1995)