1994 Fiscal Year Annual Research Report
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05305010
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前園 実知雄 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室長 (00250358)
泉森 皎 奈良県立橿原考古学研究所, 副所長 (80250356)
佐藤 昌憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (30027859)
関根 真隆 宮内庁, 正倉院事務所
角山 幸洋 関西大学, 経済学部, 教授 (40071229)
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Keywords | 繊維製品 / 古墳時代 / 藤ノ木古墳 / 染色材料 / 赤外質量分析 / 保存処理 / 高分子量PEG / 出土繊維製品の調査法 |
Research Abstract |
1,前年度行った基礎実験の結果と繊維表面の顕微鏡による観察結果を基に、高分子のPEG(ポリオックスN-80)を用いて出土繊維製品の強化処理を行った。また、塊状になった繊維製品を強化した後に層状に分離して保存する方法についても開発を進めた。 2,保存処理した繊維製品の保護材料と保管方法について、保存と活用の両面から検討した。その結果、脱酸素剤を用いて遺物を封入する方法を採用した。 3,保存処理を実施した繊維製品のプレパラートを作成し、織組織、織技法に関する検討を進めた。その結果、繊維製品の構造と組織を明らかにすることができた。 染色品の細胞組織内に残存する染色材料を同定する研究を進めた。しかし、現状では化学的に染色材料を同定するまでには至っていない。 5,保存処理した繊維製品について、法隆寺や正倉院の遺品との比較研究をおこなった。その結果、大刀の表面に付着する織物が袋であることを確認した。 6,遺物に付着した繊維製品について、その調査方法を検討した。その結果をもとに、鏡、大刀、玉などの副葬品に付着した繊維の残片から、用途を解明する作業が本格化した。この研究方法の確立によって金属製品の表面に僅かに残った繊維から繊維製品の用途が解明されることが大いに期待できる。 7.上記の調査方法が藤ノ木古墳以外の遺跡にも適用可能かどうかを検討するために、繊維製品が残存する各地(宮崎、群馬、茨城)の遺跡から出土した遺物について、調査を実施した。 8.全国から出土している繊維製品について、遺構、遺物との関係を重視した出土地名表の集成を実施すべく調査を開始した。平成6年度は西日本各地の遺跡を中心に集成作業を進めた。
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