1993 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境保全を基盤においた森林資源利用のあり方に関する総合研究
Project/Area Number |
05352025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 光 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (50027158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 信夫 京都大学, 農学部, 教授 (70026508)
深沢 和三 北海道大学, 農学部, 教授 (40001408)
大熊 幹章 東京大学, 農学部, 教授 (80011906)
堤 寿一 九州大学, 農学部, 教授 (00038209)
只木 良也 名古屋大学, 農学部, 教授 (30126685)
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Keywords | 木質 / 地球環境 / 未来資源 / バイオマス / 循環系 / 早生樹種 / 国際協力 / 大気浄化 |
Research Abstract |
太陽エネルギーを有効に利用してCO_2と水から生産される木質資源は、利用においては建築や家具の材料として生活空間に安全な構造と優れたアメニティーをもたらし、さらにパルプや紙の原料となるほか、最近ではバイオマスとして飼料、燃料、糖質など人間生活のあらゆる分野に使われている。木質はまた生態環境の中で公益的に生産され、加工や廃棄に際しても無公害で、しかも、生産・利用・廃棄・再生産の理想的な循環系をもっている人類の生存にかかわる未来型の資源である。この研究では、これら木質資源の循環系のあらゆる局面における問題点を洗いだし、地球未来的観点にたってその合理的な解決方法を考え、『木質資源の理想循環系の確立』を旗印にその科学的な方法論を明らかにする目的で計画された。 取り組んだ研究内容は、(1)汚染された大気を効率良く浄化する機能、耐火性や耐生物劣化性などをもち、かつ、樹幹成長率が極端に良い特性遺伝子を発現するような新品種の創成とその育林技術の確立、それによる生態系の攪乱の可能性評価と沈静技術の模索、(2)早生樹種の省エネルギー的で高歩留まりな加工と利用方法の確立、廃材・未利用植物繊維等の建築材料やバイオマスとしての有効利用、(3)木質環境の生活空間としての医学的、情操発育的見地からの評価、さらにはエネルギー的、耐久的見地からの評価など、未来における居住空間の在り方の探求と提言、(4)地球規模で森林生産と木材利用の調和を保つための国際協力の在り方とその問題点解決の提案、などを含んでいる。 今後、これらの内容をより深く検討し、医、理、工その他の分野の研究者に呼びかけて、時期をみて『重点領域研究』として申請していきたい。
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[Publications] 只木良也: "森林の生態系維持と木材生産" 日本木材学会研究分科会報告書. III-1. 1-11 (1993)
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[Publications] 堤寿一: "地球環境保全の観点から見た木材生産と利用の評価(1)" 日本木材学会研究分科会報告書. III-1. 124-133 (1993)
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[Publications] 大熊幹章: "地球環境保全の観点から見た木材生産と利用の評価(2)" 日本木材学会研究分科会報告書. III-1. 134-143 (1993)
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[Publications] 有馬孝礼: "エコロジーと建築材料" 機能材料. 13-8. 13-18 (1993)
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[Publications] 有馬孝礼: "住宅生産におけるCO_2放出と木材利用による炭素貯蔵" 森林文化研究. 13. 109-119 (1993)
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[Publications] 只木良也: "環境を考える(名古屋大学出版会)" 生態系と環境問題-とくに森林について(分担), 13 (1992)