1995 Fiscal Year Annual Research Report
超長期的に重力に対応した知覚変換を施した生物の行動変容とその可塑性
Project/Area Number |
05401003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 一男 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (30089099)
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Keywords | 重力 / 知覚 / 行動 / 可塑性 |
Research Abstract |
脊椎動物は重力空間で行動するという意味では他のいかなる生物とも変るところは無いが,ヒトを始めとする2次元空間で生活する生物とは自ずから異なった行動の制御系を有している。3次元的空間内での行動的自由度を所有しているということは即ちそれだけ多様な行動の制御機構を持っている可能性があり,そのこと故にその種に特有の行動様式をとることになる.本来ヒトが低重力環境にさらされた時に受ける様々な影響を異なった種を用いて,その行動特性の分析をとおして明らかにしようとする試みであるが,とりわけ3次元行動生物による知覚入力による行動統御の分析は,ヒトの低重力空間における3次元行動の分析に寄与することが大であろう。本研究題目では,このような3次元行動生物の行動制御機構の違いを前提にして以下のことを検討した.平成5年度では,1)生得的行動特性を長期成育環境条件の操作によって特異な個体を育成しモデル化するする試みを行った.2)そのような個体に対して視覚的変換を施し3次元的行動特性の順応過程を検討する試みを行った.3)短期的且つ一時的低重力環境下にさらした時の行動を観察した.4)長期的且つ一時的低重力環境下にさらした時の行動を観察することなどを行った.ヒトのプリズム順応の研究では古賀が長い研究歴を持っている。一方後者のヒトを被験者として用いる視野変換実験では,主研究者が携わってきた研究領域であり,長い研究の歴史と経験を有しており,その研究の成果は多くの研究誌に発表されてきた.また,この研究経過のなかで多くの実験にかかわる光学的,工学的,ノウハウが蓄積されており,特にコンピュータによる画像解析では自動化が進んでおり本研究への応用が期待されている.最終年度である本年においては,これらの資産を全て投入して実験をおこない,これまでの実験の宇宙実験で得られたデータとの比較検討を行った。
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[Publications] 吉村浩一,古賀一男: "“視覚の優位"を越える現象:左右反転状況での手指の運動感" 環境医学研究所年報. 45. 67-70 (1994)
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[Publications] 古賀一男: "宇宙空間における視覚安定性と感覚,運動協応の順化過程" 宇宙生物科学. 7-3. 223-223 (1994)
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[Publications] 古賀一男: "微小重力環境下におけるヒトの運動・知覚統合" 宇宙航空環境医学. 31-1. 40-43 (1994)
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[Publications] 古賀一男: "宇宙空間におけるヒトの感覚・運動の協応" 学術月報. 47-10. 102-102 (1994)
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[Publications] 古賀一男,間野忠明,毛利衛,木田光郎,太田芳博,辻敬一郎,後藤倬男: "STS47/エンデバ-号による宇宙実験「L・4」概要(4)-L・4実験の概要と実験結果(2)-" 環境医学研究所年報. 46. 30-33 (1995)
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[Publications] 河崎行繁,辻尭,斉藤威,小池淳平,大島泰郎,小林憲正,古賀一男,笹田正明,山下雅道: "宇宙環境医学医学研究所年報における微生物研出法の開発・ミール宇宙基地への利用" 宇宙利用シンポジウム(第12回) Proceeding of the 10th Space Utilization symposium. 119-120 (1995)
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[Publications] 古賀一男: "21世紀の環境を考える-地球・太陽・宇宙- 加藤喜久雄,森滋夫,松原豊 編" 日刊工業新聞社, 211 (1995)