多ビーム超伝導受信器による星間分子雲コアの徹底的な掃天観測

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05402003
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 福井 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30135298)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水野 亮 名古屋大学, 理学部, 助手 (80212231) ; 小川 英夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (20022717)
• Keywords: 電波天文学 / 星の形成 / 星間分子 / ミリ波天文学 / 星間物質

Research Abstract

星間分子雲は星形成の場であり、星形成は宇宙の進化をつかさどるもっとも基本的な天体レベルの素過程である。星間分子雲の存在形態・物理状態、そしてその進化を解明することは、現代天文学が宇宙を解き明すために欠くことのできない最も重要な課題の一つである。星間分子雲の観測的研究は、もっぱらミリメートル波帯の星間一酸化炭素分子などの回転スペクトルを使って展開されてきた。これらの分子スペクトルの強度は一般に弱く、観測には時間がかかる。そのため、分子スペクトルによる宇宙観測の進展は、他の波長域のそれと比べると、遅々たるものであった。
本研究計画は、以上の背景のもとに、天文学史上最大規模の分子スペクトルによる銀河系=「天の川銀河」の一酸化炭素(13CO)J=1-0回転スペクトルによる掃天観測を完遂しようとするものである。そのために、新たに3ビーム超伝導受信器を開発する。観測領域は、銀緯20度から-20度、銀緯350度から240度の範囲であり、4-8分角の有効分解能で総計120万点を観測する。これ自体、天文学史の1ページをかざる画期的な計画である。さらに、そればかりにとどまらず、太陽系から約1キロパーセク以内に分布する星形成領域をかつてない感度と完全さで検出することができる見通しである。この結果を総合することにより、星間空間の高密度分子ガスがどのように形成され、星を形成するかについて観測的描像を確立することを目指す。
装置の開発については、3ビーム受信器を設計し、そのための3ビーム用4Kクライオスタットを設計製作した。また、観測については、シングルビーム受信器によって、新現2台の4メートル鏡による13CO、C180スペクトル掃天観測を行なった。13COスペクトルでは、銀緯-20度から20度、銀緯350度から230度の範囲を8分角グリッドで20万点を観測し、すでに取得したデータとあわせて、計30万点のデータベスとした。また、C180スペクトルでは、13COの観測結果の中から特に注目される強度の強い部分について観測し、30個あまりのC180分子雲コアを特定した。

Research Products

• [Publications] H.Chen: "The association of ^<13>CO gas with IRAS sources in L1641." Astrophys.J.411. 239-246 (1993)
• [Publications] M.Skrutskie: "Detection of a gaseous circumstellar disk associated with GG Tau." Astrophys.J.409. 422-428 (1993)
• [Publications] K.Dobashi: "Four CO outflows and dense in the dark cloud complex near IC5146." Astron.J.150. 1487-1494 (1993)
• [Publications] Y.Fukui: "Millimeter wave spectroscopy of star formation regions." Proc.of the 5th APPC. in press. (1993)
• [Publications] Y.Fukui: "Molecular outflows." Protostars and Planets III. 603-639 (1993)
• [Publications] Y.Fukui: "Molecular outflows;observational signature for the earliest phase of stellar evolution." Primitive solar nebula and origin of the planets. 29-45 (1993)
• [Publications] H.Chen: "An IRAS sample from co-added images of L1641." Astrophys.J.416. 235-246 (1993)
• [Publications] A.Abergel: "Comparative analysis of the far IR emission and the ^<13>CO emission of the Taurus complex." Astrophys.J.(in press). (1994)
• [Publications] J.Yang: "Circumstellar structure of the young stellar object in L1287.omy" Second northeast-asian regional meeting on recent development in millimeter-wave and infrared astron. 147-150 (1993)
• [Publications] Y.Fukui: "Unbiased surveys of cloud cores." The Cold Univerese. (in press). (1994)