1995 Fiscal Year Annual Research Report
南極海域での深層水形成に関わる深い対流の発生・発達過程の研究
Project/Area Number |
05402018
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今里 哲久 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40025391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋友 和典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10222530)
淡路 敏之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40159512)
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Keywords | 底・深層水形成 / 深い対流(深層対流) / 大陸棚斜面 / 粘性境界層 / 地衡流調節 / ラグランジュ運動 |
Research Abstract |
南極海域における底・深層水形成の重要な要因の一つである大陸棚斜面に沿う高密度海水の沈降過程を数値実験的に調べた。大陸棚から供給される高密度海水が斜面を沈降し始めてからしばらくして、大陸棚外縁付近の粘性境界層内に岸向きの上昇流と沖向きの下降流が交互に現れる顕著な振動現象(周期約54時間)が生じ、実験終了まで続いた。この振動は、大陸棚斜面上での密度偏差(勾配)に起因する沖向きの圧力勾配に加えて、岸向き(上向き)の圧力勾配が生ずるため発生する。この岸向きの圧力勾配は、斜面(等深線)に沿う方向の流れのうち、流れの非線形効果に起因する鉛直平均成分に対する地衡流調節によって生じる海面圧力勾配である。これら互いに逆向きの圧力勾配が、一方が他方を強める効果を持つため振動現象を引き起こす。振動が生じない場合においても上述の負の海面圧力勾配は、海水の沈降量を決定(抑制)する重要な要素である。すなわち、海底エクマン層内で生じる高密度海水の斜面に沿う沈降量は、これまで言われていた境界層内と周囲との密度差によって生じる圧力勾配だけでなく、それにこの海面圧力勾配を加えた全圧力勾配によって決まる。また、振動を伴う場合の海水の沈降量もこの海面圧力勾配を考慮した見積もりにおおよそ一致し、今回得られた沈降量の評価式が広く適用可能であることを示唆している。この振動現象に伴って、大陸棚上からの高密度海水は大陸棚外縁において、斜面上方の内部領域の海水を効果的に取り込みながら斜面を沈降する。その結果、沈降海水中の「大陸棚上を起源とする海水」と「斜面上方の内部領域を起源とする海水」の混合比はおおよそ1 : 4の割合になる。
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