1995 Fiscal Year Annual Research Report
布の力学物性に基づく衣服の最適シルエットデザインと縫製システム制御
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05402059
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
丹羽 雅子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (80031665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正恵 神戸女子大学, 家政学部, 講師 (20248115)
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Keywords | シルエットデザイン / 縫製システム / 縫製工程制御 / シームパッカリング / ミシンの上下糸バランス / 上下糸の動的張力 / 衣服の動的シルエット / 布の基本力学特性 |
Research Abstract |
最終年度では布の基本力学特性に基づく、静的な美しさは勿論として動的な揺動の美しさを加味した衣服の最適シルエットをデザインする方法を開発し、多数の国内外の布を収集し、特に衣服デザインの意図の明確なエレガンスの1994〜1996年の写真とそれらに添付された布について客観的な最適シルエットデザインの妥当性を検証した。他方、高品質衣服を構成するに際して、その縫製システム、例えば縫目形成における最適な工程設計ならびに工程制御が必要とされるが、これらも縫製技術者の経験と勘に基づいて工程管理がなされている現状を打破するため、経験重視のこの分野に、個人的な技能による品質のばらつきをなくした縫製の適切な自動化、省力化のための縫製システム構築のための以下の基礎的知見を明らかにした。そして、その実用性に関して国内外の衣服生産技術者の協力を得てフィールドワークによって確認した。 1)意図する衣服の動的シルエットデザインのための布の力学物性に基づく素材の選別、縫糸の選別を可能にし、続いて、これらの衣服の縫製工程における工程制御のための試案を作成し、アパレルメーカーの協力を得て実際の縫製試験によって本縫製工程システムの実用性を確かめた。 2)衣服のシルエット別に、代表的な布を選別し、ミシンの上糸、下糸のバランスのとれた安定な縫目構造でかつ、美しい縫目を得るための本縫ミシンにおける上下糸の動的張力の新規な測定方法を開発して、下糸張力の制御の重要性を明らかにした。一方、縫目の美しさの評価としてのシームパッカリングは、AATCCやJIS規格では標準格付けされた写真またはレプリカと比較し、目視で判定してきているが、これをレーザー光を用いて客観的な物理量に置き換える方法を開発し、併行してパッカリングの形成機構の理論的解明を行った。これらの基礎的知見は縫製される布及びミシン糸の力学物性に基づいて縫製工程システム及び制御システムの構築に有用されることを英国、ドイツ、ポリトガル、チェコの大学、研究機関との学術交流により確認した。
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[Publications] 山田洋子,森美友喜,丹羽雅子: "シームパッカリングに関する研究(第2報) -婦人薄手ドレス地の力学物性に基づくパッカリング予測-" 日本繊維製品消費科学会誌. 36. 240-248 (1995)
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[Publications] 三木幹子,綾田雅子,丹羽雅子: "フレア-スカートの形態に及ぼす布の力学特性および接ぎ枚数の影響" 日本家政学会誌. 46. 671-682
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[Publications] Miyuki Mori,Masako Niwa and S.Kawabata: "Measurement of Thread Extension and the Estimation of the Thread Tension in a Seam" Proceedings of the 24th Textile Research Symposium at Mt.Fuji. 145-152 (1995)
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[Publications] Sueo Kawabata and Masako Niwa: "Application of Fabric Objective Data to Gament Manufacturing,The Present and Future" Proc.of the Deutsches Wollforshungsinstitut Seminar. 1-8 (1995)
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[Publications] Masako Niwa: "The Importance of Apparel Science and Prospect for Future" Proc.of the International Conference Young Textile Science 95,Liberec,Czech Republic. 1-18 (1995)
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[Publications] 森美友喜 丹羽雅子: "シームパッカリングの客観的評価法に関する研究" 日本繊維製品消費科学会誌(日本繊維製品消費科学会発表予定、1996年6月). (投稿予定).
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[Publications] 丹羽雅子,森美友喜: "縫糸の撚角度変化による縫目構造中の糸張力の推定" 日本家政学会誌(第48回日本家政学会発表予定、1996年6月). (投稿予定).
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[Publications] 三木乾子,綾田雅子,丹羽雅子: "カウルネックにおける静的および動的ドレープの比較" 日本家政学会誌(第48回日本家政学会発表予定、1996年6月). (投稿予定).
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[Publications] Miyuki Mori and Masako Niwa: "The Effects of Sewing Machine Needle and Bobbin Thread Tension on Seam Balance and Seam Puckering" International Journal of Clothing Science and Technology (The 25th Textile Research Symposium at Mt.Fuji 発表予定、1996年8月). (投稿予定).
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[Publications] Masako Ayada,Mikiko Miki and Masako Niwa: "Relation between Aesthetic Evalustion of Caul Neck and Fabric Mechanical Properties" (The 3rd International Silk Conference,P.R.China 発表予定、). 1996年9月).
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[Publications] Sueo Kawabata and Masako Niwa: "Modem Textile Characterization Methods Chapter 10" Edited by Mastura Raheel Marcel Dekker,Inc.New York, 329-354 (1996)
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[Publications] 丹羽雅子 編著: "アパレル科学" 朝倉書店(出版予定), 200 (1996)