1993 Fiscal Year Annual Research Report
合成ペプチドによる膜融合活性に必須の一次構造及び立体構造の決定
Project/Area Number |
05402068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 敞 京都大学, 化学研究所, 教授 (20022593)
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Keywords | 膜融合 / リン脂質膜 / リポソーム / 合成ペプチド / ペプチド立体構造 / 両親媒性ペプチド |
Research Abstract |
モデル生体膜の融合に必須なポリペプチドの構造として、両親媒性αヘリックスがその一つであることが示唆されている。インフルエンザウィルスのヘムアグルチニンの構造の一部を模した20残基のペプチドは膜融合活性をもつことが知られているが、そのアミノ酸配列を基にして系統的に残基置換を行い、膜融合活性に必要な配列はどのようなものであるかを明らかにしようとした。初年度の研究は従って多種類のペプチドの合成に向けられた。両親媒性という制限条件を置き、親水性、疎水性残基を1〜数ケ所ずつ類似のアミノ酸残基で置換したペプチド約40種を合成した。合成はペプチド合成機により、Fmoc法を用いた固相法で行い、得られた粗ペプチドはそれぞれ高分解能液体クロマトグラフにより精製し、精製法とは原理の異なる毛細管電気泳動装置で純度を確認した。また、アミノ酸配列をブロックとして入れ替えたペプチドや、純粋に両親媒性のみを満たすようなペプチド等を合成し、その膜融合活性の有無に関する実験を行い、単純な両親媒性のみでは融合活性が発現しないことを確認すると同時に、残基のもつある種の特性の分布が活性発現に重要ではないかということを示唆する結果を得ている。さらに電荷を架橋することによる二次構造の安定化と疎水性の増加が膜融合活性を発現するという新しい発見や、もともとのペプチドはpHに依存して膜融合活性を示すが、このペプチドは活性発現pHにおいても不活性pHにおいても膜内での配向はほとんど変わらないという知見も得られている。
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