1994 Fiscal Year Annual Research Report
合成ペプチドによる膜融合活性に必須の一次構造及び立体構造の決定
Project/Area Number |
05402068
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 敞 京都大学, 化学研究所, 教授 (20022593)
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Keywords | 膜融合 / リン脂質膜 / リポソーム / 合成ペプチド / アミノ酸配列 / 両親媒性ペプチド / 立体構造 |
Research Abstract |
インフルエンザ・ウイルス・ヘムアグルチニンHA-2のN-末端アミノ酸配列を基本とする約20残基からなる膜融合活性ペプチドについて、これがαヘリックスを作った時に両親媒性を保持する条件の下に、各残基を主として側鎖の大きさが変わるように他のアミノ酸で置換した合成ペプチド約60種の膜融合活性を測定した.残基置換は疎水性の程度が変わらないように疎水性の残基は疎水性残基で、極性残基は極性残基で一ペプチドにつき一カ所の残基置換を主としたが、類似の数残基を纏めて置換したものもある.融合活性は脂質混合、内水相混合法をともに行い、膜小胞からの内容物の漏れを起こさせる活性も併せて測定し、これらペプチドのリン脂質膜二重層に対する活性とアミノ酸配列との関連を明らかにすることが出来た.その結果によると、活性発現に寄与する残基は残基位置によって大幅に違っており、残基置換を行っても活性があまり変わらない位置、大きく変化する位置があることが明らかになった.例えばN-末端残基(グリシン)はプロリン、ロイシンなど大きさの違う残基に置換しても活性はほとんど変化しなが、グルタミン酸、リジンなど電荷を導入するような置換をすると活性が著しく減少した.またフェニルアラニン9を小さな残基に置換した場合、グリシン12又は13を大きな残基に置換した場合、C-末端のグリシンを疎水性の嵩高いロイシンに置換した場合も活性が著しく減少した.この結果はペプチドとリン脂質膜との相互作用において末端残基と、ほぼ中間に位置する残基の特異性を明らかにしたものであり、膜融合の発現には単なる両親媒性αヘリックスでなく、ある特異的な側鎖もしくは安定性の分布を持つヘリックスが必要であることを示すものである.
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[Publications] H.Kamata(First author): "Amphiphilic peptides enhance the efficiency of liposomemediated DNA transfection." Nucleic Acids Research. 22. 536-537 (1994)
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[Publications] S.Aawada(First author): "Kinetics of thermostable alanine racemase of Bacillus stearothermophilus." Biosci.Biotech.Biochem.58. 807-811 (1994)
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[Publications] J.Hoshino(First author): "Facile syntheses of 13C-2-butenedinitrile and regiospecifically labeled 13C,15N-pyridoxines." Biosci.Biotech.Biochem.58. 1939-1941 (1994)