1994 Fiscal Year Annual Research Report
化学気相析出法による多成分系酸化物強誘電体薄膜のナノ構造制御と高機能化
Project/Area Number |
05403017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平井 敏雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50005865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50209459)
大森 守 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30005954)
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60125549)
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Keywords | 多成分酸化物 / 薄膜 / チタン酸ビスマス / Bi_4Ti_3O_<12> / 化学気相析出法 / エピタキシャル成長 / 強誘電体 |
Research Abstract |
多成分酸化物には、BaTiO_3、PbTiO_3、Bi_4Ti_3O_<12>、LiNbO_3などに代表される多数の誘電、圧電、焦電、光学材料があり、その薄膜化と高機能化が要請されている。今年度はこれらの多成分酸化物の中で、強誘電体であるチタン酸ビスマス(Bi_4Ti_3O_<12>)についてCVD(化学気相析出)法によって薄膜作製を行い、その構造制御と特性の関係について調べた。室温で固体であるTiのDPM塩(Ti(OPr^i)_2(DPM)_2)とトリオルトトリルビ スマス(Bi(o-Tol)_3)を原料として各種単結晶基板上にBi_4Ti_3O_<12>薄膜を合成した。CVD装置の形状パラメータ、原料温度、流量および基板温度の変化による、得られた膜の組成変化を蛍光X線分析装置を用いて分析し、CVD条件と組成制御性との関係について調べた。その結果、再現性良く条件による組成制御が可能であり、Bi_4Ti_3O_<12>定比組成の膜が得られることがわかった。作製した膜の膜厚を膜厚測定装置を用いて評価を行った。その結果、原料温度、基板温度の上昇にともない膜厚の増加がみられた。既設のX線回折装置によって得られた膜の結晶構造を解析した結果、定比組成の膜はBi_4Ti_3O_<12>単相であり、組成が変化することでBi_2Ti_2O_7やBi_<12>TiO_<20>などの第2相が生成した。走査型顕微鏡によって膜の結晶粒径はナノオーダーサイズであった。さらに、基板温度の上昇によって結晶配向性が向上したことから、このナノオーダー結晶子が温度の上昇によって揃うことがわかった。基板温度が1123Kのときには基板と膜との間に特定の方位関係をもつエピタキシャル薄膜の作製に成功した。誘電特性の結果、残留分極は膜厚が大きくなるに従い、ほぼ直線的に値が増加し、抗電界は減少していく傾向がみられた。BIT単結晶の残留分極、抗電界はそれぞれ、4μC/cm^2,3-5kV/cmと知られているが、各値は膜厚が約5μm以上で、単結晶に近い値になることが分かった。膜厚の減少に伴い、残留分極が減少し、抗電界が増大するのは、膜内の残留応力に起因していると思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Masuda,A.Baba,H.Masumoto,T.Goto and T.Hirai: "Preparation and ferroelectric properties of Bi_4Ti_3O_<12> and Ba_2NaNb_5O_<15>film." Ferroelectrics. 152. 115-120 (1994)
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[Publications] 後藤孝、陳俊維、平井敏雄: "欠陥ペロブスカイトLaTa_3O_9の交流電気伝導と輸率測定." 日本セラミックス協会学術論文誌. 103. 50-53 (1995)