1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05403028
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
小松 晃之 早稲田大学, 理工学部, 学振研究員
武岡 真司 早稲田大学, 理工学部, 専任講師 (20222094)
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Keywords | リピドポルフイリン / 分子集合 / 電子過程 / 酸素錯体 / 分子識別 / 分子環境 / 電荷分離 / ゲル-液晶相転移 |
Research Abstract |
第2年次(平成6年度)は 研究計画に従い、分子集合組織の微細構造と電子過程の相関解明、分子集合空間を利用した分子識別に焦点を絞った研究展開ができた。 (1) 両親媒性置換基を導入したポルフイリン誘導体(リピドポルフイリン)計5種を合成、それらが水相系で形成する組織体の微細構造を詳細に解明した。特殊電顕(Cryo TEM など)から形態(紐状、小胞など)を観察、分光測定(UV.-Vis.、蛍光)の結果から ポルフイリン平面の積層や配向距離A単位で初めて決定できた。この成果はポルフイリン集合体における電子過程制御のための重要知見となった。 (2) 分子環境構築により 水相系でも可逆的な酸素配位錯体系が実現できた。特定の立体構造(置換基群)を持たないヘムでさえ 自己集合体形成により酸素錯体を生成できることを初めて実証。リピドヘム小胞体内では、ポルフイリン環が距離(<5A)に配向するので、励起状態からの高速電子移動反応が存在することも観測。ポルフイリンが高密度に配向したこの集合体では、電荷分離を利用した分子変換系の構築が可能である。 (3) リピドプロトポルフイリンがリン脂質小胞体の二分子膜層間に自発的に取り込まれ、ハイブリッドを形成することを確認。特に4置換ポルフイリンが二分子膜中で会合体を形成しない事実の発見は、分子環境の動特性を利用した 錯体部電子過程制御の実現につながった。集合体空間に識別配置されたポルフイリンの電子過程が、周辺分子環境に影響を受けることを実証。プロトヘムの酸素配位平衡は二分子膜のゲル-液晶相転移に支配され、それが酸素結合速度の差に起因すること(酸素の識別配位)を初めて解明した。
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