1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体の機能を調節に関わる天然糖質とペプチドの構造および合成化学的研究
Project/Area Number |
05403035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
楠本 正一 大阪大学, 理学部, 教授 (30028253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深瀬 浩一 大阪大学, 理学部, 助手 (80192722)
隅田 泰生 大阪大学, 理学部, 講師 (70179282)
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Keywords | 複合糖質 / リン酸化ペプチド / ホスホセリン / リポタイコ酸 / 免疫増強活性 / ミコバクテリア / 構造解析 / 合成 |
Research Abstract |
生体機能を調節に関わる天然の生物活性複合糖質およびペプチドを対象に、その活性の化学的本体と作用機構の解明を目指して研究を続け、昨年度につづいて細菌細胞由来の新しい免疫増強活性複合糖質の精製と構造解析ならびにリン酸化ペプチドの合成を中心に研究を行った。 グラム陽性菌に属する連鎖球菌類のリポタイコ酸画分については、新たに大量培養によって菌体を得て、昨年度に検討した抽出法によってサイトカイン誘導活性を有する成分の分離を行った。これらの活性成分について順次組成分析と構造の解析を進めた。ミコバクテリア菌体の含水フェノール抽出画分から上記のリポタイコ酸と同様の活性を有する分子量の大きい複合糖質を分離した。これはアラビノース、マンノースから成る多糖を主な構成要素として、そのほかに少量のイノシトール、脂肪酸およびリン酸などを含み、分子量に広がりをもっているので、部分分解によって活性を保持した構造単位を得ることを試みた。興味あることに、分子量にそれほど変化を伴わない脱アシル化などによって活性が消失する反面、酵素限定分解によって活性を残した小分子量の生成物を得ることができたので、その構造解析を進める予定である。 リン酸化ペプチドの合成研究は昨年に引き続いてホスホセリン含有ペプチドについて保護基と縮合法の検討を行った。その結果、リン酸エステル部分の保護基の数と種類が生成物の収率や純度に大きく影響することを見出して、Boc法だけなく、Fmoc法によっても純度の高いペプチドを得ることに成功した。この方法は固相合成法に適用できるので、これによって合成条件の選択の幅ができ、種々のアミノ酸を含むリン酸化ペプチドの合成が容易に行えるようになった。
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[Publications] Tateaki Wakamiya: "An efficient procedure for solid-phase synthesis of phosphopeptides by the Fmoc strategy." Chem.Lett.1099-1102 (1994)
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[Publications] Haruhiko Takada: "Molecular and structural requirements of a lipoteichoic acid from Enterococcus hirae ATCC 9790 for cytokine-inducing," Infect.Immun.63. 57-65 (1995)
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[Publications] Masato Oikawa: "On a practical synthesis of β-hydroxy fatty acid derivatives." Tetrahedron Asymmertry. 6. in press (1995)
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[Publications] Koichi Fukase: "A stereoselective glycosidation using thioglycosides:Activation by combination of N-bromosuccinimide and strong acid salts." Tetrahedron. 51. in press (1995)