1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05404004
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Research Institution | University of Tokyo, Graduate School of Science |
Principal Investigator |
長田 敏行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10012519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 陽介 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90183855)
馳澤 盛一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40172902)
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Keywords | 分化の全能性 / オーキシン / 形質転換植物 / 転写制御 / 脱分化 / サイトカイニン / 胚様体 |
Research Abstract |
目的である植物の分化全能性の遺伝子発現制御の解明の最終年度にあたり、脱分化過程が同調的に進行することで、機構解析に好適と考えられるタバコ葉肉プロトプラストより、オーキシンにより発現制御される遺伝子として単離されているparA、parCについて、オーキシン応答のシス領域を狭め、その要素を同定できたが、その要点はいわゆるas-1-様配列が必要であるが、十分ではないというものである。更に、それぞれの領域に結合するトランス因子も同定されたが、その一つは従来論議されているASF-1であったが、新たにCSF-1が関与しており、parBには更に別の因子が結合していることを解明し、前年度のparBについての結果と併せて、オーキシン応答に関わる新たな信号伝達経路を提示することができた。また、前年度同定されたサイトカイニン制御を併せて、少なくとも脱分化の機構については十分な論議が可能となった。 なお、脱分化状態の維持に関連して同定されたオーキシン制御遺伝子arcAについては、遺伝子産物がタンパク質キナーゼCと結合すること、またこのタンパク質と相互作用するタンパク質をコードする遺伝子が酵母の二ハイブリッドシステムで同定されたが、動物の脳で知られているデンドロトキシン感受性K^+-イオンチャンネルのβ-サブユニットと相同性の高い遺伝子であったが、その他にもarcAにの遺伝子産物と特異的に結合するタンパク質の遺伝子が同定された。細胞増殖に関わるオーキシン機能の新しい役割が推定されたが、これは新たにオーキシンとイオンチャンネルがどのようにつながるかという研究の展開をもたらすことになった。 更に、分化の全能性のもう一つの代表例であるニンジンの胚軸から、高濃度のオーキシンによる短時間の処理で胚様体を誘導する至適条件を見出し、そこで発現誘導する遺伝子を探索したところ、一つはオーキシン制御遺伝子のホモローグであり、一つは低分子量熱誘導タンパク質のホモローグであり、それぞれの発現の動態が調べられた。特に、この結論としては初めて胚様体形成の引き金となる遺伝子が同定されたことである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ishida S.et al.: "The mode of expression and promoter analysis of the arcA gene,an auxin-regulated gene in tobacco BY-2 cells." Plant Cell Physiol.37. 439-448 (1996)
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[Publications] Sakai,T.et al.: "Analysis of the promoter of the auxin-inducible gene,parC,of tobacco." Plant Cell Physiol.37. 906-913 (1996)
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[Publications] Kusaba,M.et al.: "A multiple-stimuli-responsive as-1-related element of parA gene confers responsiveness to cadmium but not copper." Plant Physiol.111. 1161-1167 (1996)
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[Publications] Amino,S.& Nagata,T.: "Caffeine-induced uncoupling of mitosis from DNA replication in tobacco BY-2 cells." J.Plant Res.109. 219-222 (1996)
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[Publications] Miyake,T.et al.: "Role of cytoskeletal components in the migration of nuclei during the cell cycle transition from G_1 phase to S phase of tobacco BY-2 cells." J.Plant Physiol.(in press). (1997)
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[Publications] Mitsui,H.et al.: "Cell-cycle dependent accumulation of a kinesin-like protein,KatB/C,in synchronized tobacco BY-2 cells." Plant Mol.Biol.30. 177-181 (1996)