1996 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ白血病細胞に発現するリン酸化糖蛋白膜抗原の発がん動態
Project/Area Number |
05404016
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
岡田 幸助 岩手大学, 農学部, 教授 (50002077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江尻 慎一郎 岩手大学, 農学部, 教授 (90005629)
堤 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (40113964)
平 秀晴 岩手大学, 農学部, 教授 (70045756)
間 陽子 理化学研究所, 研究員 (50182994)
御領 政信 岩手大学, 農学部, 助教授 (80153774)
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Keywords | 地方病性牛白血病 / 腫瘍関連抗原 / 単クローン性抗体 / B細胞 / リンパ種 / フローサイトメーター / 免疫組織化学 / 牛白血病ウイルス |
Research Abstract |
ウシ白血病はウシ白血病ウイルスに起因するB細胞リンパ腫である。最近、B細胞はB-1a,B-1bとconventionalB細胞の3種類に分類されている。しかし、ユニークなリン酸化糖蛋白膜抗原(c143)を有する地方病性牛白血病(EBL)の腫瘍細胞がどの種類B細胞から由来するのはまだ不明である。 そこで、EBLと診断された牛11頭および健康牛2頭について検索した。 免疫組織学染色の結果、8症例がB-1a細胞、2症例がB-16細胞、1症例がconventionalB細胞であった。EBL牛脾臓中のγδリンパ球のパーセントが正常牛と比べて、著しく低下し、形態学的に周辺帯に置いてγδTリンパ球が減少していた。このことからEBL発症牛では腫瘍免疫が低下していることが示唆された。 一方、散発型ウシ白血病には子牛型、胸腺型および皮膚型が含まれるがその病因は明らかでない。我々は12例の散発型ウシ白血病および5例のEBLを検索し、その表現型を明らかにした。次いでそれらの腫瘍細胞について癌遺伝子c-mybの発現を分子生物学的に解析した。 子牛型の全例と中間型の2例はCD5陰性のconventionalB細胞由来であり、地方病性ウシ白血病が主にB-1a細胞であるのに対して対照的であった。他の中間型2例と胸腺型4例はT細胞由来であった。うち中間型の1例はγδT細胞由来であった。胸腺型の1例はCB8シングルポジティブT細胞由来であった。その他はダブルネガティブのT細胞由来であった。 RT-PCR検索の結果、検索した散発型6例中5例にc-mybのmRNAが検出されたが、EBLの4例からは検出されず、1例では不明瞭であった。また胸腺型の1例ではexon9の変異が検出された。また癌抑制遺伝子p53の変異はEBLでは検出されたが、散発型ウシ白血病からは検出されなかった。以上我々の発見した知見はウシ白血病の病理発生を考える上で重要な寄与をした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Wu,D.,et al.: "B-1a,B-1b and conventional B cell lymphoma from enzootic bovine leukosis." Vet.Immunol.Immunopathol.(in press.). (1997)
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[Publications] Tani K.,et al.: "Further analysis of the phenotype and distribution of B-cell and T-cell lymphomas in the lymph node and spleen of cattle." Vet.Pathol.(in press.). (1997)
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[Publications] Koguchi,A.,et al: "Changes in the distribution of cells expressing tumor-associated antigen in lymph nodes during the progression of enzootic bovine leukosis." J.Comp.Pathol.115. 343-352 (1996)
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[Publications] Aasahina M.,et al: "The proto-oncogene c-myb is expressed idn sporadic bovine lymphoma,but not in enzootic bovine leukosis." J.Vet.Med.Sci.58. 1169-1174 (1996)
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[Publications] Komori,H.,et al: "Predominant p53 mutation in enzotic bovine leukemia cell lines" Vet.Immunol.Immunopathol.52. 53-63 (1996)
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[Publications] Niimi M.,et al: "Identification of bovine invariant chain (Ii) gene by nucleotide sequencing." Biochem.Biophys.Res.Commun.222. 7-12 (1996)
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[Publications] 岡田幸助: "牛白血病、「感染症カラーアトラス」、" 見上 彪、丸山 努監修、文永堂出版, 200 (1997)
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[Publications] 岡田幸助: "免疫組織、「動物の免疫学」" 小沼 操、小野寺節、山内一也編、文永堂出版, 243 (1996)