1994 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫発症の個体差と肺胞マクロファージの多機能性に関する研究
Project/Area Number |
05404031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川上 義和 北海道大学, 医学部, 教授 (10001877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正治 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (00208224)
宮本 顕二 北海道大学, 医学部, 助教授 (50190814)
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Keywords | 肺気腫 / 喫煙 / 中高年者 / 胸部CT検査 / 気管支肺胞洗浄 / 肺胞マクロファージ / 好中球エラスターゼ / アルファ1-アンチトリプシン |
Research Abstract |
本研究は、肺気腫発症の内的要因ともいうべき『喫煙に対する感受性』の個体差を明らかにすることを目的としている。今年度は、肺胞マクロファージの機能の中で、肺胞マクロファージに内在し、最も強力なエラスチン分解能をもつ好中球エラスターゼの役割に着目した。自覚症状のない中高年ボランテイア36名を対象に、肺高分解能CT検査を施行し、気腫病変low attenuation areaの有無を評価した。同対象に気管支肺胞洗浄を行い、各被験者の気管支肺胞洗浄液より肺胞マクロファージを分離し、その同一個数あたりの溶解液中に存在する好中球エラスターゼ活性を好中球エラスターゼに高感度の合成気質(MEOSAAPVNA)を用い、吸光光度法にて測定した。肺胞マクロファージ中の好中球エラスターゼ活性は喫煙者、非喫煙者間に差はなかった。しかしCT検査上、気腫病変が検出される群は、同程度の喫煙歴がありながら気腫病変を認めない群に比べてこの活性が有意に高値であった。また、同一個数の肺胞マクロファージを24時間無血清培養を行ない、その上清中のエラスターゼ-α1-アンチトリプシン複合体をELISA法にて測定したところ、気腫性変化の認められた群では、認められない群に比べ有意に高値を示した。以上の結果より、肺胞マクロファージ中の好中球エラスターゼ活性およびその放出能は喫煙により増減する指標ではなく、気腫病変形成に関する喫煙感受性の個体差を反映するひとつの因子であると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Betsuyaku,T: "Neutrophil elastase associated with alveolar macrophages from older volunteers" Am J Respir Crit Care Med. 151. 436-442 (1995)
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[Publications] Nakano,T: "Role of pulmonary intravascular macrophages in anti-platelet serum-induced pulmonary hypertension in sheep" Respiration Physiology. 98. 83-99 (1994)
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[Publications] Kawakami,Y: "Regional Focus Series:Progress of Clinical Science in Japan Respiratory medicine" Clinical Science. 87. 115-135 (1994)