1995 Fiscal Year Annual Research Report
小口径血管移植時の閉塞機序と其の対策に関する研究-遠隔成績向上を目的として-
Project/Area Number |
05404043
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三島 好雄 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北郷 邦昭 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (00161472)
伊藤 雅史 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (30223184)
仁瓶 善郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (00189341)
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Keywords | 人工血管 / 血行再建術 / 仮性内膜肥厚 / 早期閉塞 / 晩期閉塞 / 遠隔開存率 / 抗血栓性 / 血管外科 |
Research Abstract |
本研究最終年度である平成7年度は、これまでの人工血管閉塞機序や新生内膜増殖抑制に関する実験成果をもとに、新たな小口径人工血管を作製して実験的に検討し、臨床応用への可能性を追求した。人工血管は優れた抗血栓性を示す2-methacryl-oxyethyl phosphoryl-choline(MPC)ポリマーとsegmented polyurethane(SPU)の混合溶液を直径2mmのDacron人工血管に吸着させて作製した。長径2cmのMPC人工血管を、micr osur geryによって家兎頚動脈に移植し、移植後最長7ヶ月まで経時的に摘出して、開存の有無と内腔面を肉眼的・走査顕微鏡的に観察し、更に摘出標本を病理組織学的に検討した。対象としてSPUのみを吸着させた人工血管を作製して、同様に移植した。コントール人工血管の内腔は移植90分で既に赤色血栓が形成され、全例3日以内に閉塞した。一方、MPC人工血管では、移植5日後の内腔面には血栓形成は認められず、移植1週間後には内腔全体は薄いフィブリン様の膜で被われ、移植2ヶ月後には新生内膜の形成が認められ、移植後早期の開存率は良好であった。しかし、移植後6ヶ月では、新生内膜の人工血管へのanchoringが不十分と考えられる晩期閉塞例も認められた。これまで報告された小口径人工血管は早期閉塞が高率に認められており、本実験で使用した人工血管の直径は2mmと極小口径であるにもかかわらず早期血栓性閉塞が極めて少ない成績は、強い抗血栓性を有するMPCポリマー人工血管の有用性を示すもので、anchoringの改善により臨床応用への可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 伊藤雅史: "超音波法による末梢動脈病変の評価" 呼吸と循環. 43. 147-152 (1995)
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[Publications] 伊藤雅史: "繰り返す内シャント閉塞に対するタバチュール内シャント法の経験" 集中治療. 7. 21-22 (1995)
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[Publications] 伊藤雅史: "老年者の血栓性疾患.閉塞性動脈硬化症" Geriat Med. 33. 875-880 (1995)
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[Publications] Ando M: "Spontaneous dissecting aneurysm of the main trunk of the superior mesenteric arterv" Surg Today. 25. 468-470 (1995)
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[Publications] 伊藤雅史: "Buerger病の診断と治療" 別冊・医学の歩み 循環器疾患-state of arts.矢崎義雄ら編. 724-727 (1996)