1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学的手法を用いた肺癌の転移診断と治療に関する研究
Project/Area Number |
05404047
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 豊 千葉大学, 医学部, 教授 (80009448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 雅行 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (00143305)
柴 光年 千葉大学, 医学部, 助手 (20162620)
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Keywords | 肺癌 / 転移 / 癌転移関連遺伝子 / マトリックスメタロプロティナーゼ / 4型コラゲナーゼ / 遺伝子治療 / アンチセンスDNA |
Research Abstract |
本研究は肺癌転移に関連した新しい遺伝子のクローニング、および肺癌における転移関連遺伝子やその遺伝子産物(特にマトリックスメタロプロティナーゼ)の発現を、肺癌の細胞株および臨床例の組織において検討することにより、肺癌転移の分子機構の一部を明らかにし、肺癌の転移診断と遺伝子治療の一助となることを目的とし計画された。 新しい癌転移関連遺伝子をクローニングするために必要な肺癌細胞株は、現在4ないし5株が樹立されつつあり、クローニングを試みている。肺癌細胞株は原発性肺癌切除症例のうち、約10%程度の確率で樹立されているものの、当初予想した以上に原発巣および転移巣、双方からの樹立は困難であった。今後も更に培養法の改善を目指すとともに、実験動物などによる転移モデルより、高転移株を樹立するなどの方法を試みている。 癌転移の研究は急速に分子レベルで発展しており、マトリックスメタロプロティナーゼ(MMP-2およびMMP-9)は基底膜の主要構成成分である4型コラーゲンを破壊し癌の転移や浸潤に重要な役割を果たすといわれている。本年度予定した肺癌細胞株におけるMMP-2およびMMP-9発現はザイモグラム法およびノーザンプロット法の条件設定が終了した。現在症例を重ねているが、浸潤性の顕著な細胞株ほどMMPの発現を強く認め、MMPが肺癌の転移や浸潤に重要な役割をはたしていることが示唆された。 本研究は平成5年度より新規開始されたプロジェクトである。平成5年度は肺癌細胞株の樹立や各種電気泳動法の条件設定など、予定した計画はほぼ達成されたと考えられる。平成6年度はこれらの結果を用い、サプトラクション法による肺癌転移関連遺伝子のクローニング、および各種癌転移関連遺伝子を発現させた肺癌細胞株の転移浸潤能を検討することによってこれら遺伝子の生体内における意義を明らかにすることができると考える。
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