1995 Fiscal Year Annual Research Report
低温乳酸リンゲル液灌流による選択的脳冷却の実験的研究
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05404051
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Research Institution | Department of Neurosurgery, Osaka Medical College |
Principal Investigator |
太田 冨雄 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80025650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 裕治 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50181996)
長澤 史郎 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (10144370)
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Keywords | 脳冷却 / 微小脳透析法 / 灌流装置 / 透析回路 / Lactate / Pyruvate比 |
Research Abstract |
低温下では脳代謝が抑制されることを利用し、1960年以降人工心肺装置を使用した低温下での脳神経外科手術が報告されてきた。我々は、人工心肺装置を用いずに脳循環と体循環を分離し、脳循環を冷却潅流液を使用して超血液希釈状態とし、選択的に脳のみを冷却する選択的脳冷却法を考案し、これについて実験を重ねてきた。我々の研究目的は、この手技を用いることで、(1)多量の出血が予期される症例に対し、術中の出血を最小限に抑えることができる、(2)術中の一時的血流遮断が長時間安全に行える、(3)重症頭部外傷患者で頭蓋内圧のコントロールができない症例への応用等を検証することである。 現在、健常な犬において、一側の椎骨動脈から冷却灌流液を注入し、同時に他の頚部血管を総て遮断し、総頚静脈より冷却希釈された血液を脱血、除去し、体循環に戻すことにより、体温の低下をきたすことなく、選択的に脳温のみを18℃まで低下させ120分の脳循環遮断が可能なシステムを確立している。当初、潅流液として乳酸リンゲル液を用いていたがさらに脳保護作用を期待し灌流液組成についての検討を行った。 乳酸リンゲル液にマンニトール、低分子デキストランを加えた灌流液を作製し、それぞれにつき生理学的変化、ないし、脳微小透析法を用いたピルビン酸と乳酸の比(Lactate/Pyruvate比)の時間的変化について検討比較した。全例2時間の脳冷却を行い、その後の麻酔覚醒、ないし長期予後を観察したが、灌流液による差違を認めず全例存在し、術中、生理学的または血液学的には差違を認めなかったが、脳微小透析法によるL/P比を調べると、低分子デキストランの群は有意にマンニトールの群よりもL/P比の上昇を抑えることが出来、選択的分離脳冷却には、膠質液による灌流が、有利であると考えられた。
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Research Products
(2 results)