エナメル蛋白に関する免疫組織化学と免疫化学によるエナメル質形成機構の解析

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05404060
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 内田 隆 広島大学, 歯学部, 教授 (50150305)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 村上 千景 広島大学, 歯学部, 助手 (60253085) ; 里田 隆博 広島大学, 歯学部, 助手 (80170801) ; 高橋 理 広島大学, 歯学部, 助教授 (70163243) ; 深江 允 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (40064373)
• Keywords: エナメル蛋白 / カルシウム結合蛋白 / アメロゲニン / エナメリン / エナメル質形成 / 免疫組織化学 / 免疫化学

Research Abstract

ブタ幼若エナメル質の表層より抽出・精製した蛋白、及びそれらの一部のアミノ酸配列を持つ合成ペプチドに対する抗体を用いて、ブタ及び種々の哺乳動物の幼若エナメル質を生化学的、免疫化学的、免疫組織化学的、微細構造学的に検索し、以下の結果を得た。
カルシウム結合蛋白(分子量27kDa,29kDa)のN端部アミノ酸配列を含む合成ペプチドに対する抗体は、ブタとウシの形成期エナメル芽細胞のゴルジ装置、分泌果粒、トームス突起形成面近くの幼若エナメル質を染色した。この結果カルシウム結合蛋白がエナメル質から分泌されていることが明かとなった。またこの蛋白は分泌後すみやかに分解される可能性が示された。
2.89kDaエナメリンとそのN端部アミノ酸配列を含む合成ペプチドに対する抗体を用いた電顕免疫組織化学で、ブタ歯胚におけるエナメリンとその分解産物の局在を検索した。この結果、エナメリンの分解はエナメル芽細胞の分化期ですでに起こっていること、分解産物は幼若エナメル質中で特定の構造に局在しないこと等が明かとなった。
3.アメロゲニンの部位特異抗体を用いてラット切歯におけるアメロゲニンの分解と局在について検討した。この結果、ラット切歯においてもアメロゲニンはブタと同様な様式で分解される事が明かとなった。またラット切歯でもエナメル芽細胞から分泌されるアメロゲニンは多様性がある可能性が示された。
4.なお分子量13kDaアメロゲニンのN端部付近、89kDaエナメリンの中央部付近および27kDaアメロゲニンに特異的な部分のアミノ酸配列を持つペプチドフラグメントをペプチド合成機により合成し、これらのペプチドに対する抗体を現在作製、検討中である。

Research Products

• [Publications] T.Uchida: "Immunochemical and immunocytochemical study of a 15 kDa non-amelogenin and related proteins in the porcine immature enamel:proporsal of a new group of enemel proteins "sheath proteins"" Biomedical Research. (in press).
• [Publications] 内田隆: "硬組織技術の基礎研究" 学際企画, 120 (1994)