1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト及び脊椎動物の味細胞における味覚刺激情報のトランスダクションの分子機構
Project/Area Number |
05404063
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俣木 志朗 長崎大学, 歯学部, 助教授 (80157221)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60136687)
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Keywords | 味細胞 / チャネル / パッチクランプ / 甘味 / トランスダクション / スナネズミ / サイクリックエイエムビ- / アイピ-3 |
Research Abstract |
スナネズミの舌味細胞の甘味刺激変換機構を調べた。酵素処理により舌の茸状乳頭の味蕾から単離した味細胞を使用した。イオン流の記録はホールセルのパッチクランプ法による。保持膜電位-60mV下で、脱分極性パルスで誘発される味細胞の外向きK^+電流は、10mMサッカリンNaで刺激すると抑制されるが、D-トリプトファン刺激で増強した。同様に、外向きK^+電流は、5mM cpt-cAMPの外液投与で抑制され、IP_3の細胞内投与で増強した。D-トリプトファンやIP_3の投与中には味細胞は過分極を示した。このような事実は、サッカリンNa刺激中セカンドメッセンジャーのcAMPが産生され、K^+チャネルをブロックするために外向きK^+電流が抑制されることを示唆する。逆に、D-トリプトファン刺激中セカンドメッセンジャーのIP_3が産生され、細胞内部からCa^<2+>が遊離しCa^<2+>依存性K^+チャネルを活性化して、K^+が流出するためにK^+電流が増大することを示唆する。外向きK^+電流は、糖応答の阻害剤のグルマリンをサッカリンNaに加えると抑制されなくなるが、D-トリプトファンに加えても増強は維持された。 単離味上皮を用い、味刺激中の味蕾細胞内Ca^<2+>[Ca^<2+>]_iの挙動をフラ2蛍光法で分析した。Ca^<2+>を含有する100100mM蔗糖液で刺激すると[Ca^<2+>]_iは有意に増大したが、無Ca^<2+>の蔗糖液では変化しなかった。しかし、10mM D-フェニールアラニン刺激の場合、外液中にCa^<2+>が無くとも[Ca^<2+>]_iは有意に増大した。 このような結果から、甘味刺激変換には少なくとも2経路が存在するといえる。1つは、糖甘味物質刺激の場合、cAMPの産生、K^+チャネルの抑制、脱分極の発生の経路である。他は非糖類甘味物質刺激の場合、IP_3の産出、内部からCa^<2+>の遊離、Ca^<2+>依存性K^+チャネルの活性化、脱分極なしで味細胞から伝達物質の放出の経路である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sata,O.,et al.: "Electrical responses of non-taste cells in frog tongue and palate to chemical stimuli." Zool.Sci.11. 385-390 (1994)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Receptor potential of the frog taste cell in response to bitter stimuli." Rhysiol.Behav.56. 1133-1139 (1994)
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[Publications] Sato,T.,et al.: "Comparison of gustatory transduction mechanisms in vertebrate taste cells." Zool.Sci.11. 767-780 (1994)
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[Publications] Fujiyama,R.,et al.: "Differential distribution of two Ca^<2+>-dependent and -independent K^+ channels throughout receptive and basolateral membranes bullfrog taste cells." Pflugers Arch.429. 285-290 (1994)
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[Publications] Kurihara,K.,et al.: "Olfaction and Taste XI" Springer-Verlag, 864 (1994)
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[Publications] 坂田,三弥,他: "基礎歯科生理学 第2版" 医歯薬出版, 428 (1994)