1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎罹患局所における免疫・生体防御ネットワーク機構の解明
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05404066
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 耕二 新潟大学, 歯学部, 教授 (20018419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 哲夫 新潟大学, 歯学部, 助手 (00215344)
武内 義晴 新潟大学, 歯学部, 助手 (10236440)
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Keywords | 免疫ネットワーク / 遺伝子発現 / T細胞サブセット / 顆粒球機能 / in situ hybridization / RT-PCR / 免疫組織化学 / RNAse Protection assay |
Research Abstract |
1)研究プロジェクトの一つとして、歯周病原菌由来可溶性物質で刺激した末梢血由来の分離好中球における低親和性IgG Fc受容体mRNAの発現を検索する。現在、遺伝子解析システムによるCD16,CD32TC,CD32PC,CD64mRNAに対するPCRプライマを設計・作成を終了し、特異性を検証している。本教室では、in vitro,in vivo共に、歯周病原菌の影響下におかれた好中球ではCD16,CD32の低下が起こることを立証したが、研究の現段階では、CD16が蛋白レベルで低下している反面、mRNAは強く発現している。この蛋白レベルとmRNAレベルの差異を精査中である。 2)第2番目のプロジェクトとして、歯周炎罹患者より採取した歯肉組織切片を用い、In situ hybridization及びRNAse Protection assayにてIL-1,IL-4,IL-5,IL-6のmRNAの検索を行っている。複数症例からTh2と思われる細胞集団にIL-4 mRNA発現が検出された。しかし、IL-4 mRNA発現は必ずしも臨床的パラメーターと同調しているとは限らず、組織学的にはむしろ浸潤細胞の密度と分布に関連していることが示唆されている。今後はその動態について、病状との関わりを検索していく。 3)第3番目のプロジェクトとして、歯肉のクリオスタット切片の免疫組織化学染色を行い、サイトカイン産生細胞、特にTh0,Th1,Th2の分布を観察した。上述のIL-4 mRNA発現細胞と同様に、臨床的パラメーターとの同調は見らなかった。今後は機能的サブセットごとに見た浸潤T細胞集団の属性と病体との関連を検索していく。さらに、炎症歯肉中T細胞について、TCRレパートリーを調べている。また、同一患者から採取した歯肉組織と歯肉溝滲出液(GCF)を用い、レーザーフローサイトメトリーにて細胞接着因子の発現を検索中である。 4)次に、歯周炎罹患者より採取したGCF中の好中球機能の一環として、活性酸素産生能を調べた。成人性歯周炎における、主要病原細菌であるPgingivalis検出部位由来の好中球では、活性酸素産生能が著しく低下しており、P.gingivalisが好中球の殺菌能に大きな支障をもたらしていることが示唆された。 5)最後に、本教室では歯周炎罹患部位由来のGCFに高比率で活性化好酸球、高濃度のIgEとsCD23が含まれることを立証した。今回、歯肉の炎症を伴う疾患で、付着の喪失・歯槽骨の吸収が起こらない歯肉炎に罹患した患者のGCFを検索したところ、好酸球は殆ど含まれておらず、sCD23はELISAの検出感度以下、IgEも歯周炎罹患者のGCF中に比べて1/10以下であった。このことにより、分泌型ECP陽性活性化好酸球、高濃度のIgEとsCD23を含む歯周炎患者のGCFは特異的であることが示唆された。 以上、1)〜5)の総合的検索が歯周炎における免疫ネットワークの解明の一助になればと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Suzuki,T.,Sugita,N.,Yoshie,H.,Hara,K.: "Presence of Activated Eosinophils,High IgE and sCD23 Titers in Gingival Crevicular Fluid of Patients with Adult Periodontitis." Journal of Periodontal Research. (発表予定). (1994)