1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05404077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 伸之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30011563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 輝秋 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80111582)
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60192548)
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Keywords | サンゴ礁 / 物質循環 / 環境変動 / 石垣島 / 琉球列島 |
Research Abstract |
本研究では、サンゴ礁生態系における高い生産力と多様な生物群集の存在を維持している機構を明らかにするために、サンゴ礁地形の形成環境因子と形成過程、サンゴ礁生態系における物質循環を調べ、サンゴ礁生態系の維持機構と環境変動との関係について検討することを目的とした。具体的には、琉球列島石垣島北海岸(川平)の現成サンゴ礁について、サンゴ礁生態系における生息場(ハビタート)としてのサンゴ礁地形の形成過程と共に、サンゴ礁生態系における炭素および窒素を中心とする物質循環を調べた。その結果、次のような点が明らかになった。(1)現成サンゴ礁の地形・堆積物・生物分布について調査した結果、川平サンゴ礁には健全なサンゴ類が生息しており、現成サンゴ礁は陸側から海側に向かって、砂浜、礁地(ハマサンゴ帯と枝サンゴ帯)、礁嶺(モク帯と藍藻帯)、縁溝-縁脚系(太枝ミドリイシ帯)と地形帯に対応した生物分布が認められた。(2)現成サンゴ礁を横断する代表的な測腺にそって、流速計を設置して、潮汐と風の変化に伴う流向・流速の変化を測定した。その結果、川平サンゴ礁において卓越する海水流動は、北風卓越時のパターンであること、造礁サンゴをふくむ生物群集の帯状構造がこの海水流動パターンによって最も強く影響されていることが判明した。(3)地形と生物群集の帯状構造を明らかにしたうえで、海水流動をはじめとする物理環境のデータおよび造礁サンゴの特性値にもとづいて、造礁サンゴの加人-成長・競争-死滅を差分モデルでシミュレートして、サンゴの被度変化として出力し、その結果を観測結果と比較して考察した。(4)サンゴ礁地形構成とらん藻分布との関係を調査し、代表的ならん藻類の同定を行ない、現地においてアセチレン還元法と15Nトレーサー法によって、らん藻類の窒素固定速度を測定した。さらに、測定したせん藻の15N安定同位体比を測定し、藻体に積算された窒素固定の寄与率を求めた。その結果、サンゴ礁沖側の高まりには糸状のらん藻が分布し、その多くが窒素固定能力を持つことが明らかになった。現地において測定した窒素固定速度と安定同位体から推定した窒素固定の寄与には相関があり、らん藻類は定常的に窒素固定を行なっていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] YONEKURA,N.: "Geomorphic development of modernfringing reefs of Yoron Island,Ryukyu arc,Japan" 第四紀研究(The Quaternary Research). 33. 67-79 (1994)
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[Publications] 米倉伸之: "中部太平洋における完新世海面変化と現成サンゴ礁の地形発達" 地学雑誌. 103. 841-852 (1994)
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[Publications] Kayanne,H.: "Piurnal changes in the partial pressure of carbon dioxide in coral reaf water." Science. 269. 214-216 (1995)
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[Publications] Kayanne,H.: "Late Holocene sea-level change on Rota and Guam,Mariana Islands,and its constiaint on geaphysical predictions." Quaternary Research. 40. 189-200 (1993)
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[Publications] 茅根創: "完新世の記録に基づいて推定する将来の地球環境変動に対するサンゴ礁の応答" 地学雑誌. 103. 861-866 (1994)