1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451013
|
Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
武田 恒夫 大手前女子大学, 文学部, 教授 (00000357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冷泉 爲人 大手前女子大学, 文学部, 教授 (70122215)
木下 政雄 大手前女子大学, 文学部, 教授 (10000358)
切畑 健 大手前女子大学, 文学部, 教授 (80000363)
|
Keywords | 粉本の研究 |
Research Abstract |
平成6年度は、前年度に引き続き諸粉本の調査に当たり、テーマをしぼることによって、具体的な成果を求めた。 武田は、粉本による失われた原本の図様やその概要を把握する作業の一つとして武田信玄画像の多様な模本に関心を抱き、実弟信廉による信玄像諸模本に注目、その共通いた面貌を通じて周知の長谷川信春筆の信玄像と全く異なる点に、むしろ信廉原画が真相に近い点を考察。また、共通するテーマのもとに異なる模本が遺されていることも、当研究の課題となった。例えば孔子聖蹟図屏風は伝承の上では、同一の原本を写しながら、作風や図様の点で、かなり相違する諸模本を遺しているため、それらを比較検討した。さらに今村家粉本類には近世内裏障壁画の縮図が保存されているが宮内庁書陵部の資料と照合できない点について、いかに扱うべきか考察中である。 冷泉は、原家資料の「粉本借進扣」をとりあげ、在中画との関連を引き続き調査。さらに文化・文政期の京都画壇との関連を考察した。 木下は、書蹟における粉本と本歌との関係が判別し難いことから、例えば、空海の「狸毛筆奉納帳」に表微される「写書」を基準にして、字すがたと書のかたちを重視、下書、控、本歌、写本の関係を諸作品から分類した。 切畑は、工芸分野における粉本を研究対象とし、制作上の特色をうかがわせる一例として「神宮裂」の伝承について調査。本来きわめて忠実に伝えられるはずの成織にも異動があって、その変化の実際を調査の主眼とした。
|
Research Products
(13 results)
-
[Publications] 武田 恒夫: "「東照社縁起」と狩野探幽" 東照社縁起(続々日本絵巻大成). 8巻付録. 2-4 (1994)
-
[Publications] 冷泉 爲人: "王朝びとの四季-年中行事表現をめぐって-" 京 御所文化への招待. 66-81 (1994)
-
[Publications] 冷泉 爲人: "存中の絵画-「粉本借進扣」をめぐって」-" 京都画壇の19世紀2文化・文政期. 153-159 (1994)
-
[Publications] 武田 恒夫: "天瑞寺客殿画考-永徳大画をめぐって-" 美術史の断面. 317-333 (1995)
-
[Publications] 木下 政雄: "字すがたと書のかたちよりみた古筆の名称と分類" 京都国立博物館特別展図録「かなの美」. (1995)
-
[Publications] 冷泉 爲人: "関雪と播州-新出の瀑布図をめぐって-" 日本美術工芸. 9-16 (1995)
-
[Publications] 切畑 健: "能装束をめぐって十六・十七" 国立能楽堂. 126・127. 26-27、22-23 (1994)
-
[Publications] 切畑 健: "京の美・染織-友禅染・西陣織にみる近世の華-" 京の歴史と文化. 6. 57-90 (1994)
-
[Publications] 切畑 健: "3つの「悲母観音像」の思想と手法" 綴織「平成悲母観音像」. 24-29 (1994)
-
[Publications] 切畑 健: "小袖・縞・段・格子・絞り染-試考・庶民の染織-" 民衆生活の日本史・木. 141-171 (1994)
-
[Publications] 切畑 健: "「舞」の衣裳のあれこれ-古裂美が生きる-" 舞の会-京阪の座敷舞-. 1-2 (1994)
-
[Publications] 武田 恒夫: "探幽・守景" 講談社, 85-97 (1994)
-
[Publications] 武田 恒夫: "日本絵画と歳時(改定版)" ぺりかん社, 5-334 (1994)