1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451036
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
片瀬 一男 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (30161061)
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Keywords | 教育アスピレーション / 職業アスピレーション / 文化資本 / 学校文化 / 社会化 |
Research Abstract |
仙台市泉区の3つの高校において、「教育と社会に対する高校生の意識 第3次調査」を実施した。対象者は高校2年生とその父母、合計248組である。この調査の目的は、1987年度に仙台圏で行った第1次調査の結果と比較すること、ならびに来年度に実施を予定している仙台市の地区での調査項目を確定することにある。今回、採用した主要な調査項目としては、親の教育期待と子どもの教育・職業アスピレーション、親子の社会意識や価値意識、家族の文化資本と学校文化、高校生のメディア接触である。 調査データの本格的な分析は来年度前半に予定しているが、今年度は基礎集計を中心とした第1次調査報告書(速報)を作成し、対象者に配布した。この段階での分析から言えることは、以下のとおりである。 まず、親の教育期待と子どもの教育アスピレーションの関係についていえば、両者はほぼ一致する傾向がみられた。このことは、親子とも大学進学を志望・期待する者が増えていることによると思われる。また、社会意識の面では、社会に対する不公平感をもつものが親子とも多数を占めており、とりわけ高校生および母親の不公平感が高いことがわかった。領域別にみた不公平感では、学歴による不公平の存在を指摘する者が最も多かった。この傾向は、前回調査とほぼ同じものである。教育期待やアスピレーションの水準が上昇する一方で、学歴による不公平感が高いという状況の背後にどのような要因がひそんでいるかを検討することは、今後の課題となった。 さらに、価値意識のうち、権威主義的態度については、法規制や人間関係のあり方に関して、親世代の方に権威主義的傾向が強くみられた。他方、生活価値(ライフスタイル)については、親子とも自己充足的な価値および同調志向的価値を重視する者が多くみられた。こうした価値意識の世代間伝達が家族内でどのようになされるかについては、今後の検討課題となる。今回、調査項目のなかに家族の文化資本(趣味や文化活動)をいれてあるので、こうした媒介変数に注目した分析をおこなっていきたいと考えている。また、家族の文化資本のあり方が、学校文化や生徒文化とのかかわりからみて、高校生の学校適応や学業成績にどのような影響を与えているのかについても分析をすすめたい。
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