1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451036
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
片瀬 一男 東北学院大学, 教養学部, 助教授 (30161061)
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Keywords | 教育アスピレーション / 職業アスピレーション / 学校文化 / 社会階層 |
Research Abstract |
一昨年度は仙台市泉区の3つの高校で、また昨年度は仙台市を中心とした16の高校で、高校2年生とその父母を対象とした意識調査を行った。そして、今年度はこの調査データに関する統計的分析をすすめるとともに、高校教員への聞き取りをつうじて分析結果の検討を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1.以前(8年前)に行った調査の結果に比べると、高校生においても父母においても社会を公平であると評価する者のが増加していた。また、高校生においては、生活に対する満足感も上昇する傾向がみられた。にもかかわらず、社会に対する不満は増えていた。なお、生活に対する満足感についても、社会に対する満足感についても、親子の意識の間に正の相関が認められたが、その相関の強さは以前の調査結果に比べて弱くなっていることがわかった。 2.こうした高校生の社会意識には、出身階層(親の学歴・職業)による差異とともに、学校文化による差異が認められた。例えば、親が高学歴であるほど、また進学校の高校生ほど、資源配分の原理として能力や技術を評価し、学歴を評価しないことがわかった。その一方で、学歴を評価する親ほど子供に高い教育達成を期待する傾向がみられ、配分原理の認知は、教育アスピレーションの加熱をもたらすことが示唆された。 3.職業アスピレーションに関しては、以前の調査結果に比べて、事務職への志望が男女ともに減少しているが、専門職への志望は、男子では減少する一方、女子ではこれまで男子の志望が多かった専門職業への志望が増えたこと、また男子では技術者志望が減少したことがうかがえた。
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