1994 Fiscal Year Annual Research Report
Duchenne型進行性筋ジストロフィー症児の認知機能に関する研究-認知機能特性に基づく教育指導法開発のための基礎的研究-
Project/Area Number |
05451044
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 和弘 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (90015876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 廣 筑波大学, 国立特殊教育総合研究所・教育工学研究部, 室長 (60229565)
前川 久男 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (50165635)
宮本 信也 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (60251005)
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Keywords | Duchenne型筋ジストロフィー / 認知機能特性 / K-ABC / CAI |
Research Abstract |
Duchenne型筋ジストロフィー症(以下DMD)は,X-連鎖性(伴性劣性)の遺伝性疾患であり,進行性の筋萎縮と筋力低下を主徴とするが,非進行性の知的能力障害を伴う者が多く出現することが知られている。その原因としては,遺伝的に規定された中枢神経系の障害に起因するとする説が有力である。本研究では2カ年にわたり,DMD男児,DMD児の同胞である性染色体に異常を持つ女児(キャリア児),並びにまれに出現するDMD女児を対象として,その認知機能を詳細に分析,検討することにより,DMDの認知機能障害について明らかにするとともに,認知機能特性に基づく教育指導法の開発に関する基礎的知見を得ることを目的として行った。 平成5年度に行った<研究I>では,5〜10歳の幼少DMD男児を対象とした,知能構造と認知機能特性に関する研究を行った。その際,知能検査としてWISC-R検査を,認知機能に関する検査としてK-ABC検査をそれぞれ用いた。その結果,DMD男児においては,知能構造のアンバランスと継次情報処理と呼ばれる認知処理機能の弱さが存在していること,およびこれらが筋萎縮の進行に伴う運動機能障害とは無関係であることを明らかにした。 平成6年度に行った<研究II>では,DMDキャリア女児およびDMD女児を対象として,DMD男児の研究において確認された,知能構造のアンバランスおよび継次情報処理の弱さが,これらの女児においても同様に認められることを明らかにした。さらに<研究III>では,<研究I>および<研究II>より得られた知見に基づき,DMDの認知機能特性に基づく指導法の開発に関する研究を行い,Apple製コンピュータを中心として,プログラム言語にハイパート-クを使用した,文字の読み学習に関するCAI指導システムを開発した。
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