1994 Fiscal Year Annual Research Report
手話の言語発達とその言語能力評価法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05451057
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Research Institution | The National Institute of Special Education |
Principal Investigator |
鷲尾 純一 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 研究室長 (80220854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
我妻 敏博 上越教育大学, 助教授 (00124206)
菅原 廣一 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 研究部長 (30000269)
小田 侯朗 国立特殊教育総合研究所, 聴覚・言語障害教育研究部, 主任研究官 (30158828)
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Keywords | 手話 / 幼児手話 / 言語発達 / 手指機能 / 言語能力評価 / 両親聴覚障害 |
Research Abstract |
1) 聴覚障害両親に養育された聴覚障害児の手話の発達 一事例について1歳3ヶ月から2年間にわたって観察した。親子の会話場面をビデオで記録し、手話、音声、キューサイン、視線の動きなどの側面から書きおこしを行った。これらの資料をもとに言語発達の状況を調べた。主な結果を以下に示す。 (1)幼児手話: 母親は、初期には子どもに使いやすいように手話を加工していた。また、母親から与えられた手話が,子どもなりに加工されて使用されることもあった。これらの幼児手話は3歳を過ぎる頃にほぼ解消され,大人が与える通りの手話が使われるようになっていった。 (2)手指の機能分化: 手指の機能分化や認識力の発達にともなって,複合された手話や同時的な表現が出現し,運動方向や手話空間も広がってくることが観察された。 (3)指差しの機能分化: 指さしと手話の組み合わせかたにいくつかのパターンが見られた。また視線の動きが複雑になり指さしとの関係で表現方法がひろがっていくことが観察された。 (4)キュード・スピーチとの関連: 聾学校でキュード・スピーチを導入しているので,1歳過ぎからは母親の話しかけにキューも併用されるようになった。現段階ではキューが音韻を示しているというよりも象徴的なサインとなっており,手話と区別して使用されているわけではないと思われた。キューの増加と並行して手話の語彙数も増えており,会話の内容がそれだけ豊になっていることがうかがえた。 2)手話の言語能力評価法開発に関する研究 (1)聴覚障害児を対象とした場合の言語能力評価のあり方を検討した。 (2)手話の言語発達と言語能力評価法に関する研究動向を調査した。 (3)手話の言語能力評価法試案に向けての基礎的事項の検討を行った。
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Research Products
(2 results)