1994 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ社会における通信システムとしての太鼓ことばの研究
Project/Area Number |
05451059
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
川田 順造 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (50107835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順人 筑波大学, 電子情報工学系, 講師 (30111090)
小田 淳一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (10177230)
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Keywords | モシ族 / 太鼓ことば / 通信システム / 言語メッセージ / 楽器音コミュニケーション / ブルキナファソ / 音調言語 / 弁別特徴 |
Research Abstract |
1.太鼓音の音声言語の超分節特徴との対立関係が明確なもの、及び言語音の符牒化・簡略化とその逆の冗長性の事例について分析を進めた。また、ソナグラフ上では同一とみなされる音が異なる言語音に対応したり、逆の例(異なる太鼓音が同一の言語音に対応)もあり、これは単に打奏の結果としての音の類型だけではなく、打奏の方法も含めて検討する必要性が認められた。幸い川田が11月にこの太鼓言葉を採録したテンコドゴ地方を訪れる機会があり、予め選択した部分を楽師に打奏してもらった映像資料を基にさらに分析を続けている。 2.太鼓音が従来考えられてきたように言語音の超分節特徴を表している可能性の検討を続けた。これは全く前例のない新しい作業であるため、予想以上の多くの困難を伴った。まず第一段階として、モシ語の音素の弁別的特徴による類別と性格を、ソナグラフ解析を通じて行った。これには、本研究所の加賀谷良平教授の協力を仰いだ。ヤ-コブソン等が挙げている弁別的特徴の対立の組み合わせのうち、本研究で特に問題となるのは、低音調性/高音調性、集約性/拡散性、粗擦性/円熟性、中段性/連続性等で、その同定作業にとりかかった。この分析は、長時間の集中した作業を必要とするが、加賀谷の海外出張で中断され、続きは次年度の持ち越しとなった。 3.比較検討の資料とするヨルバ族(ナイジェリア)の調べ緒太鼓イヤイル及びカセナ族(ブルキナファソ)の通信用小笛ナセナの言語音との対応関係を検討するためのソナグラフ化を進めた。ヨルバのイヤイルは、主な資料としているモシのベンドレのアナログ的な音の変化に対して、デジタル的に弁別可能な音で、ヨルバ語の高中低の3音調に対応していることがわかったが、カセナの小笛については、言語音との対応関係は認められるものとそうでないものとあり、器音の冗長性が著しく、前後のコンテキストへの依存性が大きいと思われる。
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