1995 Fiscal Year Annual Research Report
エジプト マルカタ南「魚の丘」遺跡の復元研究と同遺跡出土彩画片の保存
Project/Area Number |
05451073
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉村 作治 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (80201052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 清彦 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (60063195)
近藤 二郎 早稲田大学, 文学部, 講師 (70186849)
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
菊池 徹夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (00147943)
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Keywords | エジプト / ルクソ-ル / データ・ベース / 図像復元 / 新王国第18王朝時代 / アメンヘテプ3世 / 彩画片 / 魚の丘 |
Research Abstract |
過去2年間(平成5、6年度)に実施されたエジプト・マルカタ南「魚の丘」遺跡出土彩画片(約2000点)のデータ・ベース化作業を受け、具体的な図柄の復元考察に着手した。分析、復元考察は、多くの可能性を有しているため、様々な角度からの検討が必要となる。そこで平成7年5月に、「魚の丘」彩画片の復元を目標とする図像学研究会を多くの関連研究者の参加の下で発足させた。平成7年度には、4回の「魚の丘」出土彩画片についての研究発表を開催し、活発な意見の交流があり、新たな復元の方向性を提示することができるとともに、幾つかの具体的復元案の検討が行われた。図柄の復元ばかりでなく、彩画の復元における技法上の特徴や問題点に関しても研究の重点に加える必要性があることが明確となった。 魚の丘遺跡は新王国第18王朝のアメンヘテプ3世時代の建造物であり、同王の王家の谷・西谷にある王墓やマルカタ王宮の壁画資料の検討を積極的に実施した。この結果、これまで単に彩画片の分析・保存作業が中心であったが、図像の復元考察をはじめ、新王国第18王朝アメンヘテプ3世時代のエジプト学だけではなく、建築史、美術史など総合的研究の新しい枠組を確立した。 彩画片の保存・修復研究では、過去に実施された修復処理に関して、再検討を加えるとともに基礎的な実験を行い、現状において最善な方法は、どのようなものかについて考察した。その結果、新たに良好な幾つかの方法を提示することができた。具体的には、顔料定着のため従来塗布していたパラロイドB72の5〜7%トルエン溶液を10%キシレン溶液にかえ徐々に乾燥する方法を採った。また彩画片の保存処理における大幅な改良点として、壁画支持体の残し方が検討された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakuji Yoshimura et al.: "Excavations at the tomb of Amenophis III" Egyptian Archaeology. No. 7. 17-18 (1995)
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[Publications] Jiro Kondo: "The Re-clearance of Tombs WV 22 and WV A in the Western Valley of the Kings." Vallev of the Sun Kings (ed. by R. Wilkinson) The University of Arizona. 25-33 (1995)
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[Publications] Jiro Kondo Sakuji Yoshimura: "Clearance of WV-22 and WV-A in the Western Valley of the Kings" Seventh International Congress of Egyptologists, Abstracts Papers. 101-102 (1995)
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[Publications] 近藤二郎: "テ-ベ西岸第21号墓の造営年代について" エジプト学研究. 第3号. 62-68 (1995)