1993 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期における将軍家御殿・御茶屋跡の考古学的研究
Project/Area Number |
05451074
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
岡田 茂弘 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 教授 (50150016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千田 嘉博 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (70226695)
山本 光正 国立歴史民俗博物館, 歴史研究部, 助教授 (10150020)
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Keywords | 近世初期 / 徳川将軍家 / 鷹狩 / 御殿・御茶屋 / 鴻巣御殿跡 |
Research Abstract |
1)近世初期将軍家御殿・御茶屋跡の地名表作成 16世紀末から17世紀前半に建設された将軍家御殿・御茶屋を、各種史料から抜き出すとともに、その遺跡の所在地を調査し、遺跡地名表作成の基本となる資料集成を行った。その結果、茨城県から滋賀県に至る範囲に97ヵ所をリストアップすることができた。 1)埼玉県鴻巣市の鴻巣御殿跡の現状測量調査・試掘調査 鴻巣御殿は、『武州文書』によると1593(文禄2)年に1町4段(約14,000m^2)の畑地を収公して建設され、徳川家康・秀忠・家光が鷹狩の宿舎として使用したことが各種の史料から判る御殿で、『江戸図屏風』には家光の使用の様子が描かれ、『鴻巣御殿目録』で建物の規模・構造や終末の状況が窺われる希有の将軍家御殿である。その遺跡は、近代以降の土地開発で完全に破壊されたと考えられていたが、現状調査によって礎石状の河原石が地表に多数散乱することや細い道で区画された小高い土地の存在から、鴻巣御殿跡の範囲推定が可能となるとともに、地下遺構の存在が予想された。そこで、地中写真測量による500分1の地形現状測量図の作成と併せて、御殿建物跡推定地区の試掘調査を実施した結果、御殿建物跡の基壇盛土や礎石を発見し、地下における遺構の存在を確認した。また、この結果、『江戸図屏風』に描かれた鴻巣御殿の景観は南北裏返しであることが判明し、同屏風の製作年代についての新たな疑問が生じた。
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