1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 善充 東京大学, 法学部, 教授 (70009801)
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Keywords | カード社会 / カード破産 / 免責 / 一部免責 / 消費者破産 / 消費者和議 / 免責前の一部弁済 / アメリカ破産法 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第2年度であり、引続き文献の収集・整理をしたほか、次の通り、研究を行った。 (1)カード破産と免責実務の実態調査 第1年度に引続き、カード破産の実態の把握に努めるとともに、免責実務の運用について調査した。その結果、東京地裁で積極的に採用されている「免責前の一部弁済」の実務は地方でも(例えば、札幌)行われていることを確認した。また、「一部免責」については、本年に入って、すでにいくつかの裁判例が報告されている(判夕822号、判時1484号等)。 本年の実態調査に当っては、多くの弁護士からその経験や意見を聴くことができた。とくに、94年7月30日に東京三弁護士会主催で行われたシンポジウム「自己破産手続における「一部弁済方式」を考える」(私もパネラ-として出席)、および、94年10月20日に山形市で行われた日弁連第37回人権擁護大会シンポジウム第3分科会「カード社会を考える」は、現在この問題が法律実務界でも喫緊の課題であることを改めて認識させられて、有益であった。 こうした実状を踏まえ、私は、法律の規定がないところで免責制度を弾力的に運用するためには、何よりも、裁判官と弁護士との協議による妥当な基準の形成が必要である旨を説いた(消費者ニュース19号巻頭言)。 (2)比較法的研究 アメリカ連邦破産法は、数年前から改正作業が進行していたが、94年10月に改正法案が議会を通過した。1978年の現行法制定以来最大の改正といわれる新法の消費者破産および免責について、その概要を把握、検討した。
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