1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 和夫 東京大学, 法学部, 教授 (40009808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 道代 東京大学, 法学部, 専任講師 (80234590)
荒木 尚志 東京大学, 法学部, 助教授 (60175966)
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Keywords | 日本的雇用 / 終身雇用 / リストラ / 労働条件変更 / 労働市場 |
Research Abstract |
1 本年度は、昨年度に引き続き、データベース化を行うとともに、このデータベースを利用して、日本的雇用慣行の変容についての法的検討を行った。その結果、終身雇用制を中心とした日本的雇用慣行の変容が最も端的に現れるのは、いわゆるリストラの際の雇用調整および労働条件調整についての紛争であることが明らかとなった。 2 そこで、年度後半は、リストラの場面に焦点を当てて、従来の雇用関係法理がどのように変容しているのかの解明に努めることとした。この作業の過程にあたっては、リストラが雇用関係に関連して問題となる場合を「経費削減」「人員削減」「事業組織再編成と人員再配置」「労働条件制度の変更」の4つに分類し、それぞれの項目のもとに、関連するリストラ関係の裁判例の検索を行った。その結果、現在の雇用関係の変化を示す主要な裁判例として約30件余抽出することができた。 3 次にこれらの裁判例について労働市場の変化が労働法理論においてはどのような形で反映されるのかという視角から法理論的検討を行った。この作業によって、わが国では解雇権濫用法理の制限のために、外部労働市場が発達しなかったのに対して、内部労働市場は高度に発展し、経済情勢の変化を主として内部労働市場の柔軟性によって調整できるような法理が展開してきたことを明らかにした。もっとも同時に、有期契約についての緩やかな規制に見られるように外部労働市場の柔軟性も一定程度利用してきた。 4 以上の検討から、現在のリストラの場面で問題となっているのは、経済状況に応じた柔軟な適応のための手段が、過度に内部市場のそれに傾斜しすぎており、その結果外部市場が未発達となり、そのことが再び内部市場による解決を要請するという循環になっていることが明らかとなった。本研究によって、外部市場の柔軟性・活用整備と内部市場の柔軟性の適正なバランスの解明が、今後の労働法制にとって重要な研究課題であることが判明した。
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