1993 Fiscal Year Annual Research Report
危機に立つ中山間地域の現状と展望(山形県西川町と朝日町の比較研究)
Project/Area Number |
05451108
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大川 健嗣 山形大学, 人文学部, 教授 (00006842)
|
Keywords | 中山間地域 / 過疎集落 / 出稼ぎ / 高齢化 / 兼業農家 / 誘致企業 / 地域づくり / インフラストラクチャー |
Research Abstract |
平成5年度の実態調査は、山形県西川町大井沢地区根子集落8戸、同じく小山地区36戸、計44戸を対象に実施された。なかでも根子集落と小山地区の石畑集落については、昭和45年に第1回目の実態調査を実施した。当時根子集落は総戸数13戸(うち非農家1戸)、石畑集落は8戸を数えていたが、今回の調査で、前者は4戸減少して8戸に、後者は1戸減少して同じく8戸になっていた。この両集落は、いわば四半世紀の間に前者は約31%とかなりの挙家離村率ではあったが、後者の石畑の場合は、9戸中わずかに1戸のみが離村したに過ぎず比較的安定的に推移してきていることが分かった。 今回の調査では、この石畑集落を含む小山地区全体の農家実態調査を当初から予定をしておったので、今回の調査のひとつのポイントであった。というのは、昭和44年現在で88世帯を数えたものが、今回の平成5年の調査では25年間に実に41%も激減し、かつ高齢者世帯が多いことを考慮すれば今後も過疎化は確実に深化し続けるであろう。このように根子集落を含む大井沢に比べて、どちらかと言えば、西川町の拠点地区に近い小山地区の過疎化の進行が顕著である点に注目し、自然的条件の厳しい大井沢地区よりもより社会的要因が不安定な理由ないし原因を追求したかったわけである。 詳細な分析はこれからであるが、ダム建設を契機に道路等のインフラストラクチャーの整備が進み、かつまた町当局が展開している「町づくり」政策の経済的・社会的効果もある程度現われており、セカンド・ハウス時代を形成しつつある大井沢地区と、前述のごとく今後も過疎化が一層深化すると予想される小山地区との比較分析は、同様の社会的条件下にある東北の中山間地域の今後を展望する上で極めて重要であると考えている。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 大川健嗣: "日本農業再生の方向-地域資源いかす工夫-" 『日本農業新聞』(1993年4月5日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "「中山間地」の振興-遅すぎた活性化に怒り-" 『河北新報』(1993年7月14日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "「農業再生のポイント-主体的に意識改革を-」" 『日本農業新聞』(1993年8月9日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "「中山間地」の振興(二)-新政権の過疎対策注目-" 『河北新報』(1993年8月17日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "「中山間地」の振興(三)-「嘆き」から「攻め」に転換-" 『河北新報』(1993年9月17日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "「中山間地」の振興(四)-「攻め」のカギを握る「人材」-" 『河北新報』(1993年10月18日号). (1993)
-
[Publications] 大川健嗣・小笠原浩一編: "地域の福祉経済学" 中央法規出版, 185 (1993)
-
[Publications] 大川健嗣: "高齢者サイドからみた適切な観光施設並びにサービスのあり方に関する調査" 山形県高齢化社会研究所紀要, 106 (1993)