1995 Fiscal Year Annual Research Report
危機に立つ中山間地域の現状と展望(山形県西川町と朝日町の比較研究)
Project/Area Number |
05451108
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大川 健嗣 山形大学, 人文科学, 教授 (00006842)
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Keywords | 中山間地域 / 過疎 / 挙家離村 / 高度成長 / 兼業農家 / 地域づくり / インフラ / 後継者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中山間地域で起きている諸問題と平坦部が直面している「農業危機」との構造論的関わり合いを、社会科学的に解明するところにあった。 まず平成5年度には、26年間「定点追跡調査」方式を採ってきた山形県西川町大井沢地区の根子集落(8戸)をはじめ、25年ぶりに再調査をした川土居地区の石畑集落(8戸)、同じく川土居地区の通称小山地区(3集落、18戸)の合計34戸の聴取り調査を実施した。また次年度の平成6年度には、12年前の昭和59年に調査した山形県朝日町の2集落、すなわち、りんご集落たる沼向集落(23戸)、それに水田単作で、かつての出稼ぎ集落の松程集落(65戸)、合計88戸の聴取り調査を実施した。 平成7年度は、本研究の最終年度に当たるので、実態調査表の最終点検をはじめ、集計・分析をし、補足調査や関連自治体の調査をしながら、3年間の総括報告書を作成するのが、本年度の研究実施計画であった。 その結果分かった主な点を列挙すると、およそ以下の通りである。 (1)西川町根子:26年前の13戸から5戸が挙家離村していた。(2)石畑集落:僅かに1戸のみ流出。(3)西川町の山間地域の農家経済は、かろうじて米を残しながら、生活の中心は山間地域であっても人夫・日雇いを中心とした賃金収入に依存し、高齢者の年金が補完する形が一般的であった。(4)一方、朝日町のりんご集落・沼向の場合も、品質単価において日本一の評価があるこの町においても、りんご農家も農外所得依存度を年々高めてきていることが分かった。農業基盤の危機に直面していることを如実に物語っている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 大川 健嗣: "地域づくりの海路図" 岩手県地域づくり情報誌『オリザ』. 27号. 22-23 (1996)
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[Publications] Taketsugu OKAWA. Ahmet CIHAN: "A Camporative study on the Socio-economic Circumstances Between JAPAN and Turkey" 山形大学紀要(社会科学). 26巻2号. 171-198 (1996)
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[Publications] 大川 健嗣: "マルチメディア時代-中山間地にこそ必要" 日本農業新聞(1996年1月8日号). 1- (1996)
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[Publications] 大川 健嗣: "認定農家制度の背景" 日本農業新聞(1995年9月4日号). 1- (1995)
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[Publications] 大川 健嗣: "世界化の中の東北,そして三陸" 三陸地域振興シンポジウム. 21-36 (1995)
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[Publications] 大川 健嗣: "地方自治体における政策立案の視点" (財)東北産業活性化センター『IVICT情報』. 23巻. 22-31 (1993)
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[Publications] 山形大学地球環境研究会: "検証・ヒトが招いた地球の危機(共著)" 講談社(ブルー バックス), 267 (1995)
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[Publications] 建設業の明日を考える委員会: "生活大国とうほく-建設業の明日を考える" NHK出版, 300 (1996)