1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05451135
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90006586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 博 筑波大学, 地球科学系, 教授 (70062817)
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Keywords | 小学校の農繁休暇 / 地域社会の構成員 / 3期の農繁休暇 / 農繁休暇の短縮化 / 進学率の向上 / 地域社会からの疎外 / 農繁休暇の地域性 |
Research Abstract |
研究成果は、前述の分担課題にそって実施された。研究代表者は、長野県松本盆地において小中学校の農繁休暇を調査した。その結果、小学校では農繁休暇は明治中期まで遡ることができ、田植え、養蚕業と深く関わっていたことが判明した。また、村祭りなどでも休暇が取られ小学校児童の農繁休暇が地域社会と密接に結びついていたことを示すものであることが明らかになった。太平洋戦争の激化とともに学童の援農もみられた。 戦後も小学校の農繁休暇は取られ、農繁期に合わせ、春蚕、田植え、秋蚕と3期実施された場合がある。中学校の農繁休暇は、小学校より少ない日数で取られたが、1970年頃から農繁はん休暇の短縮化、名称の変更がみられた。農事休暇から中間休暇である。中学校の進学率の向上に伴って農繁休暇は1975年頃には消失する運命であったが、その期間中に先生の教研集会がもたれたので、中間休暇の名目で存続する結果となった。 農繁休暇の実施の有無や期間をみると日本の高度成長期の地域性をみることができる。すなわち、都市域の中学校では早期に農繁休暇の短縮化と中間休業化が進展した。それは全日制高校への進学率をも反映したものである。しかし、農繁休暇の廃止は、小中学校の児童・生徒が家庭内・地域社会内で疎外されていく過程を示しているに他ならない。つまり、小中学校の生徒が地域社会のなかで果たす役割の喪失が、非行や暴力、登校拒否を生み出した一因といえよう。
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[Publications] 斎藤功: "東京北郊における鉢物花卉栽培の持続的発展" 人文地理学研究. 19. 1-20 (1995)
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[Publications] 斎藤功: "松本盆地における小中学校の農繁休暇鉢の地域性" 地域調査報告. 17. 9-20 (1995)
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[Publications] 斎藤功: "わが国最初の高原避暑地宮ノ下と箱根-明治を中心に-" 人文地理学研究. 18. 133-161 (1994)
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[Publications] 斎藤功: "中学校の農繁休暇の消長と地域の変化-新発田地地区を事例として-" 地域調査報告. 15. 13-22 (1993)
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[Publications] 佐々木博: "松本盆地における公民館活動" 地域調査報告. 17. 1-8 (1995)