1994 Fiscal Year Annual Research Report
授業における教師の知識の機能に関する実証研究-教師教育の視点から-
Project/Area Number |
05451140
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤岡 完治 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90030048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 匡 神戸大学, 発達科学部, 講師 (00184143)
大島 聡 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (80176867)
影山 清四郎 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (60089563)
|
Keywords | 教師教育 / 教師の知識 / 教師の成長 / 教師の信念 / 教授行動 / 授業リフレクション / 教師の特性 |
Research Abstract |
授業の実施過程における5人の教師の思考内容を、授業リフレクション(授業者の授業時の内観報告)による「教育的意味単位」によって記述した。11の分析カテゴリーによる分析の結果、児童の思考や行動の予想や予測、過去の児童に対する再認識、授業中の教師の感情などが、児童の思考や行動を受け入れて授業を展開するか、教師の予定や計画をに合わせて展開するかを規定することがわかった。(藤岡) 授業観察にカード構造化法を適用することによって、信念に基づいて観察する、距離をおいて客観的に観察する、授業に即して観察する、授業に即しかつ対象化して観察するなど、授業観察の際の知識構造の個人差を抽出することができた。(藤岡) 初任者教師の成長過程を教室情報の解釈の変容で調べたところ、経験者教師が客観的に授業状況を判断しているのに対して、初任教師は、学級の眼前の問題を反映した状況判断を行っている傾向がみられた。また初期においては教師の注意が授業への参加といった学級運営上の問題に集中し、年度の後半になると教師自身あるいは指導法に注意が向くようになることがわかった。(浅田) 教師の信念(児童観、授業観、学級観、指導観、学力観)と教授行動の関連を社会科で調べたところ、教師は信念としては、意欲・自主性などの情意領域、思考力や問題解決能力などの高次の認知能力、協調性を重視していることがわかった。しかしそれは必ずしも授業内容として具体化されていない。また、授業場面における教師行動が、子どもや、学級や、授業についての考え方に影響を受けていることが、示唆された。(浅田) コンピュータの利用した学習活動における、教師の知識の影響を参考観察、調査紙、ビデオとコンピュータを利用したリフレクション記録等で分析した結果、(1)子どもの自発性を重視した学習活動のセッティングにおいて、教師の特性が子どもの活動の方向や内容に影響を与える(2)全体的な状況の把握に際して教師の教育観や個々の子どもに関する知識、コンピュータに関する知識が二次的に影響を与えることがわかった。(大島)
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 藤岡完治,菅沼伸一: "授業場面における教育相談的態度に関する研究-授業リフレクションを通して-(印刷中)" 横浜国立大学教育学部附属教育実践研究指導センター紀要. 11.
-
[Publications] 藤岡完治: "授業の自己改善のための記録と分析" 看護教育. 34. 731-738 (1993)
-
[Publications] 藤岡完治: "学習指導と教育相談" 月刊生徒指導. 23,12月増刊中. 42-49 (1993)
-
[Publications] 大島聡,中川一史,豊福晋平: "パソコンを含み込んだ生活環境の構成とその影響-学習活動におけるテクノロジー・プッシュと教師の対応-" 横浜国立大学教育学部附属教育実践研究指導センター紀要. 11(印刷中).
-
[Publications] 大島聡,他: "小学校におけるパソコンを含み込んだ生活環境の構成とその影響-子どもたちの問題解決過程と生活環境との関連-" 日本教育工学会研究報告論文集. ET94-6(印刷中).
-
[Publications] 浅田匡: "教師の自己内省支援システムの開発" 日本教育工学会第9回大会講演論文集. 108-111 (1993)
-
[Publications] 藤岡完治: "水越敏行監修梶田叡一編教育技術学双書1所収「私的言語による授業分析」(印刷中)" 明治図書,
-
[Publications] 浅田匡: "水越敏行監修梶田叡一編教育技術学双書1所収「教師の自己理解と授業改善」" 明治図書(印刷中),