1995 Fiscal Year Annual Research Report
理科と算数・数学における認知的方略の育成に関する研究
Project/Area Number |
05451153
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Research Institution | YAMANASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀 哲夫 山梨大学, 教育学部, 教授 (30145106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗田 真司 山梨大学, 教育学部, 助教授 (00195554)
藤井 斉亮 山梨大学, 教育学部, 助教授 (60199289)
進藤 聡彦 山梨大学, 教育学部, 助教授 (30211296)
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Keywords | 認知的方略 / 科学的概念 / 理科教育 / 数学教育 / 算数教育 |
Research Abstract |
今年度は、本研究の最終年度にあたるので、認知的方略を育成するための授業を昨年度から行うとともに、その内容を含んだ論文を作成した。具体的な授業の対象としたのは、中学2年生理科の電流回路の単元である。こうした授業の実施に加えて、これまでにやり残してきた認知的方略と深く関わっている子どもの素朴概念の実態調査も行ってきた。本年度得られた主な知見を二点に絞ってまとめれば以下のようになる。 第一に、我々が開発した子どもの素朴概念を調べる定式化した問題を用いて授業前・後に子ども自身にそれを比較させる方法を用いれば、子どもの認知的方略を高めることができることが明らかになった。当初、子どもたちは、このような方法に慣れていなかったため、何を聞かれているのかすらも分からない状態であったが、この方法に慣れるにつれて適切な回答をするようになっていた。したがって、このような方法を用いれば、子どもたちの認知的方略を高めることができると考えられる。 第二に、子どもの認知的方略を高めることは彼ら自身の自己評価の能力を高めることにつながっていることが明らかになった。本研究で用いた方法は、授業前・後に書かせた自己の変容を比較させるものであったので、このことは当然の結果ともいえよう。 これらの知見およびこれまでに得られた知見を報告書としてまとめた。しかし、本研究で得られた知見がすべてまとめられたわけではなく、データ等が未処理のものもたくさんあり、今後学会発表および論文発表等を行っていく予定である。さらに、新たな課題、例えば他の認知的方略の育成方法等についても今後研究を深めたい。
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[Publications] 堀哲夫: "学習前の子どもの素朴な考えを知ることの意味" 楽しい理科授業. 27. 56-61 (1995)
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[Publications] 堀哲夫: "子どもの素朴概念と理科授業の構成" 理科の教育. 44. 44-49 (1995)
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[Publications] 市川英貴: "電流回路のモデルによる中学生の認知的方略の育成" 日本理科教育学会研究紀要. 36. 21-31 (1995)
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[Publications] 堀哲夫: "素朴概念の変容と自己評価のかかわりについて" 理科の教育. 45. 48-54 (1995)
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[Publications] 藤井斉亮: "子供の数詞の理解について(1)" 日本数学教育学会誌. 77. 2-9 (1995)
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[Publications] SERGEI ABRAMOVICH: "Multiple-Application Medium for the Study of Polygonal Numbers" Journal of Computers in Mathematics and Science Teaching. 14. 521-557 (1995)