1993 Fiscal Year Annual Research Report
時制・新旧情報を反映するアブダクションによる談話理解とその故障診断系への応用
Project/Area Number |
05451160
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石川 彰 上智大学, 外国語学部, 助教授 (10138373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植竹 洋一 東京商船大学, 商船学部, 助教授 (70193795)
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Keywords | アブダクション / 自然言語インターフェイス / 談話解析 / 談話表示理論 / 談話指示対象 / ラベル付演繹体系 / ATMS / 対話ゲーム |
Research Abstract |
自然言語によるインターフェイスが可能な故障診断系を実現するには、システムが対話の新情報、旧情報を管理し、出来事に含まれる指示対象の特定によって自然な応答文の生成に役立てられるようにすることが必要であるので、本研究ではアブダクションによる対話モデル実現のための基礎的研究を行った。日本語の「は」・「が」に関して、本年度はHobbsの雑然的存在論に基づく1階述語論理による表現と型付きラムダ計算に基づく方法を検討した。両者はどちらも構成的数学との関連があり、計算機による実装が可能である。時制表現による出来事に含まれる指示対象の管理に関しては、出来事計算法(Event Calculus)、およびATMSによる定式化を試みたが、次の3つの問題点を見いだした:1.計算量の問題 2.非単調推論の定式化の問題 3.対話の形式化の問題。計算量の問題に関しては、本研究の範囲をはるかに越える問題であるので、当面はATMSについての従来の取扱いを踏襲して、既存の処理系を検討する方針を立てた。非単調推論の定式化に関してはATMSとラベル付き演繹体系との関連付けから出発し、現在、状況意味論的な定式化を探っている。Barwise & EtchemendyなどによるAustin的命題の考えはラベル付き演繹体系との関連がつくと思われる。対話の形式化の問題は計画当初の予測を越えて、本研究と直接関連する多くの問題が発見できた。特に、対話中の指示対象の管理に関しては、筑波大大学院生の緒方氏の研究から、指示対象の存在論的分類とそれにしたがう指示対象確認の方策を考慮することになった。また、意味論との接合の容易さの観点から、Lauri Carlsonの対話ゲームをHintikkaのゲーム理論的意味論と接合させたものを談話表示理論的に定式化するという着想を検討しつつあり、結果を本年度認知科学会で発表の予定である。なお、石川、植竹はそれぞれ台湾のAcademia Sinicaで昨年行われたPacFoCoLで本研究の成果を発表した。
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