1994 Fiscal Year Annual Research Report
TeV領域電子・陽電子衝突実験のための高分解能カロリメータの開発研究
Project/Area Number |
05452028
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
武田 廣 神戸大学, 理学部, 教授 (30126114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神前 純一 神戸大学, 高エネルギー物理学研究所・物理研究部, 助手 (60169787)
樽麿 和幸 神戸大学, 総合情報処理センター, 助手 (80227298)
横山 千秋 神戸大学, 理学部, 助手 (30093537)
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Keywords | カロリメータ / シンチレーション・ファイバー / 電子・陽電子衝突 |
Research Abstract |
高エネルギー物理学研究所の陽子シンクロトロン加速器テストビームを用いて、鉛とシンチレーション・ファイバーから成る試作カロリメータの基本的性能の評価を行った。ハドロン・シャワーの横方向への逃げを防ぐために、鉛とシンチレータの層から成るサンドイッチ・カロリメータを上下左右に配置した。入射粒子としては電子と荷電パイ中間子を用い、1GeVから4GeVのエネルギー領域でカロリメータのエネルギー分解能、位置分解能の測定を行った。入射粒子の正確な位置は、カロリメータの前面に配置した2層のドリフト・チェンバーを用いて決定した。また、カロリメータ出力の入射位置依存性、入射角度依存性についてもデータを取った。実際の測定器においては、カロリメータの前面に何等かの物質が存在することは避けられないので、プレ・シャワー測定器を配置し、カロリメータと併せてデータを取った。ビームテストで得られた結果をGEANTと呼ばれる計算機シミュレーションでの予測と比較検討を行い、良い一致が得られた。 本計画のカロリメータは電磁シャワーとハドロン・シャワーの一体型なので、電子と荷電パイ中間子の弁別についても解析を行った。その方法としては、シャワーの横方向の広がりの情報と、プレ・シャワーの出力を用いた。鉛とシンチレーション・ファイバーの容積比を4:1にすることで、電子と荷電パイ中間子に体する出力が等しくなることが期待されたが、実験では出力比が1から有意にずれた。その原因が容積比の調整不足なのか、ハドロン・シャワーの洩れなのかは、現在調査中である。 上記のビームテストの結果を基に、試作したカロリメータは次世代電子・陽電子衝突実験での物理的要請を満たすことが確認されたが、大量生産のための方法及びコストダウンの方策については、今後の検討課題である。
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