1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452033
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
安達 利一 高エネルギー物理学研究所, 加速器研究部, 助手 (80141977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 喜三夫 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 教授 (10011579)
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Research Abstract |
弱い相互作用による中性子スピン回転の実験では、中性子スピンが原子核標的内で中性子運動量の周りの回転する角度thetaを、超伝導体内のマイスナー効果による磁場分離により、中性子偏極保持磁場に対する射影角に変換する。そして、磁場で保持されるP_nsintheta成分を偏極^3Heフィルターで解析する。 本年度では、手持ちの有り合わせの部品を組み合わせて中性子スピン操作の基礎研究を行ない、中性子スピン回転の実験を開始し予備的実験結果を得た。この実験は、p波共鳴における中性子スピン回転の世界で初めての実験である。予備結果では、弱い相互作用によるパリティ混合理論と矛盾しない。最終結果を得るには、系統誤差を小さくする必要がある。系統誤差を小さくするには、中性子スピンの非断熱通過法の精度向上が重要であると判明した。非断熱通過法の不完全により、余分の偏極成分が混入し、しかも混入の度合に中性子エネルギー依存性があり、実験結果に影響する。この影響は、注意深い解析により除去出来るが、実験精度をあげるには非断熱通過法の改良が必要である。よって、中性子スピンの非断熱通過法の改良の為の、磁場計算を行い、新しい中性子スピン保持用コイルの設計を行なった。また、中性子スピン操作をより完全にするため、標的を挿入する新しいニオブの超伝導箱とそれを転移温度以下にする液体ヘリウムクライオスタット等、を製作した。これは、回転角射影角変換をより完全にするものである。
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