1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452038
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
冨永 靖徳 お茶の水女子大学, 理学部・物理学科, 教授 (00013540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 利宏 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50251690)
太田 隆夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (50127990)
柴田 文明 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20011702)
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Keywords | 水の動的構造 / 低振動数ラマン散乱 / ラマン分光 / 水溶液系 / 電解質水溶液 / アルコール水溶液 / 糖 / アスコルビン酸 |
Research Abstract |
1.軽水と重水につづいて酸素18の同位体水(H_2^<18>O)の低振動数ラマンスペクトルの解析を行った結果、水分子間の変角振動(50cm^<-1>モード)はH_2O分子全体が動き、水分子間の伸縮振動モード(170cm^<-1>モード)は主に酸素原子のみが動いていることがわかった。 2.ジオキサン(1、4ジオキサン)水溶液の低振動数ラマンスペクトルの解析を行った結果、水のモル分率が0.8以下で、水分子間の伸縮振動モードが消失することがわかった。これは、水の四面体的なペンタマーモデルで説明ができる。 3.アルコール水溶液系では、水のモル分率0.8付近で、水素結合の生成消滅に伴う緩和時間が異常に長くなることがわかった。これは、この濃度付近で水の四面体的クラスターとアルコールの鎖状クラスターのクロスオーバーが起こっていることで説明がつく。 4.電解質水溶液系(NaCl、KCl、CaCl_2等)のラマン領域の緩和モードは、Cole-Cole型の誘電関数でよく再現されることがわかった。得られた緩和時間と水の緩和時間との比が、粘性率の比とすべての濃度で一致することがわかった。 5.グルコース、ガラクトース水溶液の低振動数ラマンスペクトルの解析からは、水の振動モードがほとんど変化しないことがわかった。これは、水の動的構造とグルコース、ガラクトースの水溶液中の構造が極めてよく似ていることで説明がつく、 6.生理活性のあるL-キシロアスコルビン酸(ビタミンC)は、生理活性のほとんどないD-アラボアスコルビン酸と比べ、より多量の水和水をまわりにつけていることが誘電緩和の測定からわかった。また、低振動数ラマンスペクトルの解析から、D-アラボアスコルビン酸はビタミンCに比べて、バルク水の構造に、より大きな影響をあたえていることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 冨永靖徳: "スペクトロスコピーで水の動的構造を覗く" 日本物理学会誌. 48. 773-780 (1993)
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[Publications] Y.Wang & Y.Tominaga: "Dynamical Structure of Water in Aqueous Solutions of Ascorbic Acid by Low-Frequency Raman Scattering" Journal of the Physical Society of Japan. 62. 4198-4201 (1993)
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[Publications] Y.Wang & Y.Tominaga: "Dynamical Structure of Water in Aqueous Solutions of D-glucose and D-galactose by low-frequency Raman Scattering" J.Chem.Phys.100. 2407-2412 (1994)