1993 Fiscal Year Annual Research Report
低温強磁場下の2次元電子系:量子ホール効果と基底状態
Project/Area Number |
05452044
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
川路 紳治 学習院大学, 理学部, 教授 (00080440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 徹 学習院大学, 理学部, 助手 (60245371)
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Keywords | 量子ホール効果 / 電子局在 / 二次元電子系 / 強磁場 / ランダウ準位 |
Research Abstract |
本研究は、低温度強磁場下の2次元電子系の物性の中で、主として、量子ホール効果と低電子濃度基底状態の研究を目的として行われた。 量子ホール効果:電子移動度21m^2/VsをもつGaAs/AlGaAsヘテロ接合ウエハから電流電極間距離2900mum,電流電極幅400mumのホールバーの中央部600mumを測定部とし、測定部幅を10から120mumの範囲で変えた試料を製作し、量子ホール効果のブレークダウン特性を1.2から0.5Kの温度と25Tまでの磁場で測定した結果を解析した。ブレークダウン電流が試料幅に比例することは、ホール抵抗の量子化がエッジ状態の電流によるものでないことを示す。磁場依存性は、局在によるホール場合の増強効果に基づくランダウ準位間のツェナー還移によって説明できた。現在、移動度ならびに電子濃度が異なるウエハーから、上記と同様の形状で測定部幅が3mumまでの試料を製作して、ブレークダウン特性を測定しつつある。 低電子濃度基底状態:GaAs/AlGaAsヘテロ接合2次元電子系の電子移動度が35m^2/Vsの試料で、0.1Kまでの低温度で27Tまでの磁場で対角抵抗を測定した結果から、活性化エネルギーのランダウ準位充填率依存性を求めた。Princeton大グループの高移動度試料の結果と比較し、いずれの試料においても、電子間クーロン相互作用が低電子濃度領域の絶縁体相の電子状態を支配していることが確かめられた。また、最大移動度が2.5m^2/VsのSi-MOSFETの対角抵抗とホール抵抗を、50mKまでの低温度と15.6Tまでの磁場中で測定した。異なる磁場中で、ランダウ準位の充填率が1以下の領域の対角抵抗の温度依存性から求めた活性化エネルギーのランダウ準位充填率依存性の測定結果の解析から、GaAs/AlGaAsヘテロ接合2次元電子系と同様に、電子間クーロン相互作用が低電子濃度領域の絶縁体相の電子状態を支配していることが確かめられた。この結果は、ロシヤグループによる高移動度Si-MOSFETの測定結果の報告では見られない電子濃度と温度領域で行われた新しい知識である。さらに、金属・絶縁体相境界を、これまでに測定されていない低温極限で測定することができた。これらの結果は、GaAs/AlGaAsヘテロ接合2次元電子系の結果と併せて検討中である。
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[Publications] S.Kawaji,K.Hirakawa,and M. Nagata: "Device-Width dependence of plateau width in quantum Hall states" Physica B. 184. 17-20 (1993)
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[Publications] S.Kawaji: "Quantum transport in semiconductor surface and interface channels" Surface Science. 299/300. 563-586 (1994)
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[Publications] S.Kawaji,K.Hirakawa, M. Nagata,T.Okamoto他2名: "Magnetic field dependence of the device width dependent breakdown current in the quantum Hall effect" Surface Science. 305. 161-165 (1994)