1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452051
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 公俊 東京大学, 物性研究所, 助教授 (30153480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白濱 圭也 東京大学, 物性研究所, 助手 (70251486)
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Keywords | 第3音波 / ペンローズ格子 / 透過スペクトル |
Research Abstract |
本研究では、超流動ヘリウム膜を伝播する第3音波を用いることによって、ペンローズ格子や2次元不規則格子などの2次元非周期変調構造中における波動現象の理解と、この系に特有な諸概念の実証を目的とする。 今年度は本研究計画の最終年度にあたる。本年度は写真引き伸し器、空気清浄器を購入してパターン作成の再現性向上を行なって、ペンローズ格子中を伝播する第3音波の伝播方向依存性を詳細に研究した。透過スペクトルは格子の方位に対応して各々得られるので、全体のデータ量は膨大なものとなる。それらを効率よく保存し、検索できるようにDATデータ記録装置を購入した。 今年度得られた透過スペクトルをペンローズ格子の構造因子と比較検討した結果、周期系とは異なる、準周期系に特有と考えられる特徴のあることが明らかになった。すなわち、第3音波の前方への透過が著しく阻害される条件は、原点を頂点の1つとする正10角形の頂点に構造因子のピークが並び、それらがちょうどEwald円上に配置されたときに成立する。言い換えると、ペンローズ格子中で第3音波の多重散乱が非常に効率よくおこる条件が存在すると言うことである。このような条件の成り立つ所はペンローズ格子の自己相似性を反映した構造因子中には多く見いだされる。さらに、この条件の成立は第3音波の伝播方向に極めて敏感であることがわかる。
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Research Products
(1 results)