1993 Fiscal Year Annual Research Report
プラセオジウム化合物の核磁気相転移点近傍における臨界現象の研究
Project/Area Number |
05452059
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
畑 徹 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10156333)
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Keywords | プラセオジウム化合物 / 核磁気 / 磁気相転移 / 臨界現象 / 磁化 / 電気抵抗 / 残留抵抗比 / 核断熱消磁 |
Research Abstract |
現在,測定試料としてPrCu_2,PrCu_6PrIn_3を,磁化測定用と電気抵抗測定用を結晶軸をそろえてペアで用意している。この3つの試料を準備しているのは,相転移温度が約20mK,2mK,0.3mK以下と一桁ずつ異なっており,電子系の磁気相転移から核スピン系の磁気相転移の写り変わりも観測できるからである。この試料の結晶軸方向はX線より同定し,現在,結晶の欠陥や純度を評価する残留抵抗比(RRR)の測定を準備している。 超低温で磁化および電気抵抗の測定を行う際,試料と冷媒の熱接触,試料と温度計の熱接触および測定による発熱を抑えることが重要となるが,この間の経験の蓄積により,試料と温度計と冷媒との熱接触に関しては1mKにおいて0.01mK以下の精度まで制御できるようになった。磁化測定における発熱については,計算上無視できる程度に小さいことがわかっている。しかし、電気抵抗の測定では,温度の低いところで問題となってくることが予想され,低電流値で測定の感度を上げる工夫をしている。テスト実験の結果,試料の抵抗値よりも電極と試料の接触抵抗の方が大きいことが判明したので,電極作製を材質を変えて試みている。 また、PrIn_3の予想される転移温度が低いので,冷凍装置である核断熱消磁装置の性能のチェックを液体ヘリウムの研究と同時に行い,現在のところ,2段核断熱消磁の電子温度で約20muKに冷却可能となった。
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