1994 Fiscal Year Annual Research Report
非線形干渉法による固体多電子励起系の巨視的位相の観測
Project/Area Number |
05452066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五神 真 東京大学, 工学部, 助教授 (70161809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島野 亮 東京大学, 工学部, 助手 (40262042)
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Keywords | 励起子コヒーレンス / 表面励起子 / 位相共役波 / 2光子コヒーレンス / フェムト秒分光 / 励起子分子 / 励起子超放射 / 量子井戸励起子 |
Research Abstract |
固体の光学応答における素励起の役割を明らかにするために、光励起によって系に誘起される巨視的分極が時間空間的にどの様に運動するかを観測する手段を確立することを目指した。特に、強い光励起によって生じる物質系の量子論的なコヒーレンスの発現に着目した。まず、モード同期パルス光源を用いて、非線形干渉分光法を開発した。これを用いて、(1)CuCl励起子分子系の巨視的位相の測定と自発的コヒーレンスの形成過程の追跡(2)アントラセン表面励起子の巨視的双極子の位相緩和測定(3)GaAs量子井戸における励起子分子のコヒーレントな運動の観測(4)微小光共振器中の励起子による位相共役波発生の実験をおこなった。(3)はミシガン大学のD.G.Steel教授のグループと共同で行った。その結果次の成果を得た。 (1)非線形干渉法により2光子励起された励起子分子の2光子コヒーレンスの測定を行い低温域で励起子分子が50ピコ秒以上初期の位相を保って振動することを実証した。現在この結果を論文にまとめる作業を進めている。 (2)2次元のフレンケル励起子系であるアントラセン表面励起子で、フェムト秒ポンプ・プローブ法を行い、2次元励起子系の自由誘導減衰の信号をとらえることに成功した。現在この結果をもとに励起子超放射について考察を行っている。 (3)非線形干渉法を用いてGaAs量子井戸中の励起子分子のコヒーレントな振動の観測に成功した。 (4)半波長光共振器中の半導体量子井戸の励起子による非線形信号が増強されることを明らかにした。この結果をまとめ投稿した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Saiki: "Photon echo induced by two-exciton coherence in a GaAs quantum well" PHYSICAL REVIEW B. 49. 7817-7820 (1994)
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[Publications] T.Saiki: "Free induction decay and quantum beat of excitons in Znse" JOURNAL OF CRYSTAL GROWTH. 138. 805-808 (1994)