1993 Fiscal Year Annual Research Report
気候システムの年々変動における季節サイクルと季節内変動の役割
Project/Area Number |
05452077
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安成 哲三 筑波大学, 地球科学系, 教授 (80115956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 博 筑波大学, 地球科学系, 講師 (70236628)
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Keywords | 気候システム / 気候変動 / 季節内変動 / 季節サイクル / 経年変動 / 自然変動 / モンスーン |
Research Abstract |
本年度は、経年変動、季節変動と季節内変動が実態としてどのように相互に関連しているかを、熱帯モンスーン域の対流活動と日本付近の降水量変動について解析した。 この結果、モンスーンの季節的な進行は決して一様ではなく、場所と時期により非常に短期間に"ジロンプ現象"として起こること、この位相は季節内変動の振幅変調と密接に関係していることが明らかとなった。 一方、気候システムの季節変動や年々変動の中で、変動のどの部分が外部強制(forcing)によるもので、どの部分が自然変動として認識されるものかを分離することは、きわめて重要な研究課題である。この問題に対する最初の解答は、非定常forcingがない場合の自然変動の大きさの程度を見積ることであろう。 本研究では、簡単な順圧大気モデルを1000年間積分し、自然変動の定量的な評価を行なうための時系列解析を行なった。このモデルの唯一のエネルギーsourceは、パラメタライズされた傾圧不安定による総観規模擾乱の励起であり、それが他の波数にカスケードや逆カスケードを起こし、摩擦などによる逸散過程でエネルギーを失う、というエネルギー循環が構成されている。この時系列のスペクトル解析の結果によると、約50日以下の短周期変動のスペクトルはレッドノイズとして特徴付けられるのに対し、それ以上の長周期変動は、ホワイトノイズになる事が解かった。つまり、約50日以下の周期の変動は過去のメモリーを持つのに対し、それ以上の周期の変動は過去のメモリーを持たず、予測が不可能な変動をしている事が結論付けられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Yasunari,S.Kodama: "Intraseasonal variability of katabatic wind over east Antarctica and planetary flow regime in the Southern Hemisphere" Journal of Geophysical Research. 98. 13063-13070 (1993)
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[Publications] T.Tomita,T.Yasunari: "On the two types of ENSO" Journal of Meteorological Society of Japan. 71. 273-284 (1993)
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[Publications] Shao-Fen Tian,溝口恵美,安成哲三: "水理実験センターにおける気温変動のスペクトル気候学" 筑波大学水理実験センター報告. 17. 73-78 (1993)
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[Publications] 李越豪,安成哲三: "OLR(赤外長波放射量)でみた広域アジアモンスーンの年々変動" 日本気象学会1993年秋季大会講演予稿集. 110 (1993)
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[Publications] H.L.Tanaka and K.Kimura: "A Parameterization of Baioclinic Instability in a Barotropic Model" Ninth Conference on Atmospheric and Oceanic Waves and Stability,10-14 May 1993,San Antonio,Texas. 319-320 (1993)
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[Publications] 田中博,木村和央: "順圧大気モデルを用いた大気の自然変動のスペクトル解析-1000年RUNの結果について-" 日本気象学会1993年秋季大会講演予稿集. 195 (1993)