1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452093
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小間 篤 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00010950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 啓司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40223482)
多田 博一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40216974)
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Keywords | 有機・無機超格子 / エピタキシー / 角度分解紫外光電子分光 / 原子間力顕微鏡 / フタロシアニン / 層状物質 / アルカリハライド / ファンデルワールスエピタキシー |
Research Abstract |
本課題では、ファンデルワールス界面に分子線エピタキシーを応用した手法であるファンデルワールスエピタキシーを有機分子に適用して、従来まったく例のない有機・無機エピタキシャル超格子の作製とその物性解明を追究している。平成5年度に行った研究とその成果は以下の通りである。(1)良好な有機エピタキシャル膜が得られるアルカリハライド・フタロシアニン系について、実際に超格子の作製を試み、KBrとVO-フタロシアニンを数分子層単位で交互に5回程度積み重ねたエピタキシャル超格子を作ることに成功した。現在、この物質系において、結晶性を保ったままさらに積層を重ねるための成長条件の探索を行っている。(2)有用な、また興味ある性質を持った超格子を作製するためには、多様な有機分子のそれぞれに対し、超格子作製に適した無機物質を探索する原理の確立が必要である。そのため、有機・無機エピタキシャル界面の相互作用を、基板物質の違いによる有機膜の分子配列とモルフォロジーの違いを通して調べた。まずアルカリハライド以外にも、MoS_2、MoSe_2、GaSe、NbSe_2など、ファンデルワールス表面を持つ基板上で、各種フタロシアニンの良好なエピタキシャル成長に成功し、格子整合性と結晶軸方向の関係が明らかにされた。また、水素終端したシリコン基板上のフタロシアニン超薄膜の角度分解紫外光電子分光スペクトルの測定を行い、フタロシアニン分子は基板と平行に配列していることが実証された。さらに、原子間力顕微鏡の観察を行い、格子不整合と有機膜表面の分子層単位のモルフォロジーに強い相関があることを見いだした。(3)全体の膜厚が数〜100nmという、従来ほとんど測定例のない超薄膜・超格子について、電気伝導度や紫外・可視吸収スペクトル等の物性を測定する基本技術を確立した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Morioka,H.Tada,A.Koma: "Alternate heteroepitaxial growth of vanadyl-and chloroaluminum-phthalocyanines on KBr and KCl" J.Appl.Phys.73. 2207-2214 (1993)
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[Publications] M.Sakurai et al.: "Epitaxial growth of C_<60> and C_<70> films on GaSe(0001)and MoS_2(0001)surfaces" Chem.Phys.Lett.208. 425-430 (1993)
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[Publications] T.Kawaguchi,H.Tada,A.Koma: "Structural analysis of epitaxial films of metal phthalocyanines on hydrogen-terminated Si(111)surfaces" J.Appl.Phys.(印刷中).
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[Publications] T.Shimada et al.: "Polytypes and charge density waves of ultrathin TaS_2 films grown by van der Waals epitaxy" Surf.Sci.291. 57-66 (1993)
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[Publications] T.Shimada et al.: "Molecular beam epitaxy of SnSe_2:Chemistry and electronic properties of interfaces" Jpn.J.Appl.Phys.32. 1182-1185 (1993)
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[Publications] N.Nishida,K.Saiki,A.Koma: "Photoemission study of alkali halide/covalent semiconductor heterostructures" Surf.Sci.304. 291-297 (1994)