1993 Fiscal Year Annual Research Report
化学ビーム法によるカルコパイライト型半導体のエピタキシャル成長
Project/Area Number |
05452094
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 淳二 東京工業大学, 理学部, 教授 (90158486)
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Keywords | カルコパイライト / ワイドギャップ半導体 / 化学ビーム成長法 / CBE / エピタキシャル成長 |
Research Abstract |
予備研究において明らかとなった金属Ag,トリエチルガリウム及び硫化水素を原料とする化学ビーム法によるAgGaS_2のエピタキシャル成長における課題,すなわち,成長速度の向上に向けての検討を行った.まず,成長を律速している硫黄原料の基板表面への供給効率の向上を図るため,硫黄セルの先端ノズル形状の設計・作製を行った.これまでノズル形状の変更のみによっては,成長速度の大幅な増大を実現には到っていない.そこで,さらに基板温度の低温化と硫黄ビームのイオン化を行うことにより硫黄の成長表面での付着係数を増大させる方向で検討を進めている. 一方,成長中の真空度が若干改善されたことにより,高速電子線回折によるGaAs基板表面へのAgGaS_2のエピタキシャル成長における成長初期過程のその場観察が可能となった.その結果,10nm以下の極めて初期の過程で島状成長を示すスポット状の回折パターンからストリーク状のパターンが示す2次元的な成長に移行する過程をその場観察することに成功した.さらに,回折スポットの位置から成長表面の成長方向と面内方向の格子定数の膜厚依存性を求めることにより,成長温度での格子不整合に起因する格子歪の緩和過程が,格子定数が10nm以下の極めて薄い領域で完了していることを明らかにした. 本年度には,Al,Cu,Se等の原料の導入して混晶系の成長を計画していたが,成長速度の問題の解決に手間取り,研究の進行が遅れているが,成長のその場観察が可能となったことにより成長条件の最適化において強力な手段を得たと考えている.
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[Publications] J.Yoshino,K.Hara and H.Kukimoto: "Epitaxial Growth of Wide-Bandgap Chalcopyrite Semiconductors and Application for Visible Light-Emitting Devices" Proceedings of the 18th State-of-the-Art Program on Compound Semiconductors,Ed.by R.E.Enstrom et al.40-47 (1993)