1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05452120
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
伊理 正夫 中央大学, 理工学部, 教授 (40010722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 光一 中央大学, 理工学部, 助教授 (90178046)
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Keywords | 感度解析 / 自動微分 / 随伴システム / 区間演算 / 計算複雑度 |
Research Abstract |
過去3年間の調査研究などの結果をも融合しつつ,理論体系を構築した結果,非線形システムの感度解析の一般論に到達することが出来たが、これは,従来の諸理論、諸手法をすべて統一的に整理し,感度解析の本質を明らかにし,より効率的な手法を作り出す基になりうるものであるという意味で,重要な成果である.また,当該年度は研究最終年度であり,これまでに遂行してきた研究の成果を纏めて,国内外に発表して批判を仰ぎ、理論体系を完成させることも主たる目的であるが,これについては,本研究の枠組の中で,常微分方程式の初期値問題の精度保証に関する議論,自動微分・感度解析用のソフトウェアについて国内外で発表した. 感度解析の数学的な見方である「一点での特性に注目するだけでなく,その点の“近傍"におけるシステムの特性に注目する」という立場を,ソフトウェアのレベルでかなり忠実に実現すべく,通常の浮動小数点表示に数に限らず区間数・指数部長可変浮動小数点数・羃級数展開で表現された関数等,多様なデータ型が統一的に扱えるようなソフトウェアの試作・改良を現在も続行している. 単に「与えられたシステムの感度解析を行なう」に留まらず,当初計画にはなかった「感度解析が行ないやすいような,すなわち,エレメントの変動がシステム全体の特性に及ぼす影響が予知しやすいような,そのような構造の特徴付け」という問題意識が,研究を進める過程で得られ,直並列システム等の実際的な構造をそのようなものの例として位置づけたこと,および,随伴系の概念を数値計算の立場から再考し,連続系の随伴系と,連続モデルを離散化した系の随伴系との違いを明確に認識するに至ったことも,本研究の工学的意義を高めるものである.
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[Publications] 伊理正夫: "計算の品質向上を目指して" 日本機会学会誌. 98. 4-5 (1995)
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[Publications] 伊理正夫: "随伴系の概念への数値計算論的アプローチ" 第24回数値解析シンポジウム講演予稿集. 36-40 (1995)
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[Publications] M.Iri and Amemiya: "Experimental studies on guaranteed-accuracy solutions of the initial-value problem of nonlinear ordinary differential equations" T.Mitsui and Y.Shinohara (eds.):Numerical Analysis of Ordinary Differential Equations and Its Applications,World Scientific.195-212 (1995)
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[Publications] 久保田光一: "常微分方程式の区間解法について" 京都大学数理解析研究講究録「科学技術における数値計算の理論と応用」(研究代表者三井斌友). (発表予定). (1996)
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[Publications] 伊理正夫,久保田光一: "アルゴリズムの自動微分" コロナ社(発表予定), 200 (1996)